「クリスマスも正月も祝う」日本の不思議な価値観 神道、仏教、キリスト教と受け入れられた背景
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 15時0分
米は栄養価が高く、非常に優れた食糧です。一方で、戦乱の元になってしまうリスクが大きい食糧であるとも言えます。
また、川から水を引いて稲作をするためには、大規模な灌漑工事や関係者の利害調整のコミュニケーションが必須になります。
水源や水路を決めなければなりませんし、上流で水を取りすぎてしまうと下流でなかなか取れなくなってしまうので、場所ごとに引く水の量に対する取り決めを設けることも必要です。
水路の整備に付随する作業を滞りなく進めるには、全体の指揮を執るリーダーの存在が不可欠です。リーダーの指揮のもと、灌漑工事をしたり、水の配分を決めたりする必要が生まれたことが、身分の差をつくることにつながった1つの要因ではないかとされています。
そして、そうしたリーダーの誕生や身分の差は、不満や怒りの感情を生みやすいため、当然ながら戦乱をもたらすことになります。
稲作文化がある中国やインドでも同様の現象は発生していたのですが、日本の場合は特に顕著でした。日本は、山の多い地形で、川もほかの国に比べて多くの急流があります。
急流である分、灌漑の整備も大規模になりがちです。また、山が多いということは平地も少なく、農業に適した土地と、そうでない土地で差が出てしまいます。
そうすると、農業に適した土地を人々の間で奪い合う状況が発生するわけです。それが、日本の数々の騒乱につながった、と考えられます。そしてそんな日本において、宗教は必要不可欠なものだったと考えられます。
さて、そもそも昔から日本人の多くは、日本古来の考え方であり八百万の神を祀る「神道」と、ブッダを開祖として輪廻転生と解脱を説く宗教である「仏教」の2つを同時に信仰していました。
このような状況が発生したのは、6世紀のこと。大陸から伝えられた仏教の扱いをめぐり、当時の日本の有力者の意見は2つに分かれました。「仏教を広めるべきだ」という蘇我氏と、「広めるべきではない」という物部氏の対立です。
神道も仏教も日本の統治に必要だった
この対立こそ、いわゆる「崇仏論争」と呼ばれる争いです。最終的には蘇我氏が勝利し、先にも触れた通り、現在の仏教と神道が結び付いた日本の不思議な宗教観になったというわけです。
神道と仏教は、両方とも日本の統治に向いていました。神道は、天皇の威光を示すために必要でした。そして、人々が規律を守って生きるために、「不殺生(生き物を殺してはならない)」という仏教の考え方も必要だったのです。
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