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いつの間にか「"LUUP"急拡大」の知られざる裏側 「まず創業者がしたことは…」入山章栄氏が解説

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 11時30分

巧みなロビイングを仕掛け、「レジティマシー」を勝ち得ながらビジネスを普及させてきたベンチャー企業が日本にもある。電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」を展開するLuupだ(写真:dual180/PIXTA)

「宗教」と「優れた企業経営」には実は共通点があり、「現代の強い企業」は、いい意味で「宗教化」していく。

それらの主題をもとに、世界の宗教事情に精通したジャーナリストの池上彰氏と、『両利きの経営』の解説者で早稲田大学教授の入山章栄氏が語り合った『宗教を学べば経営がわかる』が発売された。

同書を再編集しながら、電動キックボードのシェアリングサービス「"LUUP"急拡大」の知られざる裏側を入山氏が解説する。

ベンチャー成功のカギは「正当性」の獲得にある

ベンチャー企業が社会から選択されるには、ひとつ重要な側面がある。

【話題の書】ジャーナリストの池上彰氏と経営学者の入山章栄氏が「経営と宗教の共通点」について解説した異色のコラボ書

それは、「社会的正当性」すなわち「レジティマシー(legitimacy)」を獲得することである。

なぜなら、まだこの世に生まれたばかりのベンチャー企業は、社会から異質なものとみなされがちだからだ。

だからこそ、その時代の社会常識に歩み寄って、「当社がやっていることは社会的に正当である」と広く認識させる必要があるのだ。

たとえば現代のベンチャー企業にとって顧客の納期を守ることは、レジティマシー獲得の第一歩だろう。創業間もないベンチャー企業は人も仕組みも足りず、約束した納期を守れないこともある。

しかしそれでは、どんなに技術力が高いベンチャーでも「この会社は信用できない」と認識され、正当性を得られない。社会環境から選ばれないのだ。

したがってベンチャー企業は、その社会環境に合わせて、「レジティマシー」を勝ち得るための地道な作業が不可欠になる。

安定して必ず納期を守る、顧客からクレームが来たら即座に対応する、コンプライアンスを徹底する……などがそれにあたる。

これらを地道に継続することで、次第に社会的信用を得て、取引を増やし、投資や銀行融資を増やしていくのだ。

「ロビイング」はベンチャーの成功に欠かせない

時にベンチャー企業は、政治家、行政、メディアなどを巻き込むことも必要になる。これらのプレイヤーは、企業が「社会的正当性(レジティマシー)」を得るうえで、大きな役割を果たすからだ。

特に政治家や行政に民間企業が積極的に働きかけることを「ロビイング」という。

日本では「ロビイング」という言葉に、官民癒着のような薄暗いイメージを持つ方もいるかもしれない。しかしアメリカではロビイングは一大産業であり、ベンチャーの成功に欠かせないのだ。

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