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吉野家の「おしゃれ化」に抱く"モヤモヤ"の正体 進むファミリー向けへの転換、その成否は?

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 8時40分

吉野家の開業は1899年。最初は日本橋の魚市場に誕生した。市場で働く忙しい人々のために、さっと食べられる牛丼を提供し始め、人気を博す。

スローガンは「うまい、やすい、はやい」で、牛丼以外のメニュー数は絞り、ソロ男性向けに牛丼を安く、早く食べられることに注力してきた。

こうした店の方向は、その空間にも表れている。従来の吉野家は、なるべくご飯を早く食べたいサラリーマンに特化した空間を作っている。ズラリと並んだカウンター席、インテリアも少なめの簡素な店内など、「1人で黙々と食事をする空間」だ。

しかし、現在展開中の「クッキング&コンフォート」業態はそうではない。「女性やファミリーがゆったり居られる空間」になっている。

クッキング&コンフォート店舗はどんな感じ?

実際に中に入ってみよう。

まず気づくのは、その雰囲気の明るさだ。モノトーンを基調とした店内は明るく、洋楽が流れていて、まるでおしゃれなカフェに来たかのよう。

また、所々に植栽が施してあって、モノトーンの店内に彩りを添える。造花だが、植物がある。注文はカウンター越しではなく、中央のレジで行い、料理もそこで受け取る。今までの吉野家とは少し違うスタイルだが、決してわかりにくくはない。

席は、テーブルと1人席が混在しているが、若干、テーブルのほうが多い。私が訪れた店舗には、キッズスペースやキッズ向けのカプセルトイなども置いてあって、「ようこそ、ファミリーさま!」感がすごい。

また、各テーブルにはコンセントがあって、カフェとしてゆったり使える設計も。ちなみにこの店舗にはドリンクバーもあるから、作業にもバッチリだ(この記事も、吉野家で書いている)。

総じて、女性やファミリー層をかなり意識した店内なのだが、吉野家がこのような店舗を作ったのは、これまでの牛丼の客層だったソロ男性だけでは、店舗の拡大に限界が見えてきたからだろう。

牛丼業界は全体として、店舗数が天井に達しつつあり、さらなる拡大を図るために顧客の拡大が必要とされていた。そうした中で、これまで牛丼屋が取りこぼしていたターゲット層を狙っていこうとしているわけだ。

特にファミリー層については、1人客に比べれば必然的にその消費額も大きくなるから、店側にとっても都合がいい。

吉野家では「1人で行く安くて早い店」からの脱却が進んでいるのだ。

松屋でも似たような変化が

こうした変化は、他の牛丼チェーンでも起こっている。

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