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吉野家の「おしゃれ化」に抱く"モヤモヤ"の正体 進むファミリー向けへの転換、その成否は?

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 8時40分

ある種、吉野家の方向性はこの時代にマッチしているといえるのだ。

牛丼各社が似てきている

では、こうした変化は、経営的に見てどうなのだろうか。私は、別にソロ男性が行きづらくなるかもしれないことに異を唱えるつもりはない。それは、経営判断であり、私が口を挟めるところではないからだ。

ただ、単純に思うのは、牛丼チェーン全体の方向性が「似てきている」こと。

ここまで触れなかった「すき家」は当初から、郊外で家族向けの業態を展開していたこともあって、相対的にファミリー層が多い店だった。また、ミニサイズの牛丼や、石原さとみを使ったCM戦略などで、女性客の獲得をし続けてきた歴史もある。もともとが、ソロ男性だけをターゲットにしていなかった。その点、吉野家・松屋とすき家では絶妙に会社のポジションが違った。

しかし、昨今のシフトチェンジにより、牛丼各社のポジションが「すき家」化している。

明るい店内、ファミリーや女性が相対的に多く、いろんなメニューがあってファミレスのよう――。こうしたイメージに各社の店舗空間が収斂されてきている。

しかし、そうなれば当然のことだが、各社の差異は小さくなり、消費者にとってはどこに行っても同じ、となる。「わざわざここ」という動機がなくなるのだ。

特にこうした方向転換が遅かった吉野家は、今さらこのような転換をしても、すき家の先行者利益には勝てない、という見方もある。

しかも、すき家の都心部の一部店舗では、牛丼容器がプラスチックになっていて(いわゆる「ディストピア容器」)、食べ終わったらそのまま捨てられるというきわめて効率的な店舗も登場してきている。むしろ1人客であれば、楽だからこうした店舗に足が向くかもしれない。

いずれにしても、今後の展開においては、各社の間でより個性を出していかなければならないことは間違いない。

どこかふらついている印象の吉野家

特に吉野家に絞れば、こうした店舗空間の変更によってどのようなことが起こるのか、十分に考えられているのか怪しい気もする。

例えば、クッキング&コンフォート業態の出店を見ていると、ロードサイドが中心ではあるものの駅前立地なども多く、「ファミリー層よりおひとりさま需要のほうが強いんじゃ……?」と思うところも多々ある。

それに、近年の吉野家はどこかその戦略がふらついているのも不安要素となる。例えば、吉野家ではかねて「唐揚げ」を「第2の柱」として押し出し、今年12月には唐揚げ専門業態の「でいから」も初出店した。

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