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世界を読み解くカギは「西洋哲学」の中にある 「江戸時代の日本思想」をいま再評価すべきだ

東洋経済オンライン / 2024年12月28日 18時0分

西洋哲学には常に理性主義という考えがつきまといます。

「人類の共通の価値観は理性を使えば持てる、理性は全人類が持っているから」

この理想追求型の理性主義と、西洋世界の拡大が強く結びつくのです。

紀元前4世紀、古代ギリシアのマケドニア王国のアレクサンドロス大王はアジアに東征し、ギリシア文化とオリエント文化が混じり合いヘレニズム文化が形成され、ギリシア人が世界帝国を築いていく。

そうした時代背景のもとに、「世界こそが我々の国家であり、 我々は世界市民(コスモポリタン)だ」という考え方(世界市民主義)が生まれてきます。今日でも「自分は日本人じゃない、地球市民だ」という人たちがいますが、2400年前からこういう思想があった。

これを受け継いだローマ帝国時代の哲学がストア派で、理性を基準に世界共通の価値観を持とうというグローバリズム、これが西洋哲学のスタンダードになっていくのです。

そこにキリスト教が広まってきました。キリスト教は「唯一神が世界を設計した」という思想ですが、これこそコスモポリタン的、グローバルな思想なのです。キリスト教がヨーロッパで広まる前の段階で、現在にも通ずる世界共通の価値観を求めるようなメンタリティが、古代ギリシア・ローマの世界に存在していたと思うのです。

西洋文明の理性至上主義の功罪

時を経て、中世ヨーロッパの哲学には、「唯名論(ノミナリズム)」を唱える人たちが現れます。端的に言うと「人間が理性を使えば、様々な観念を作っていける」という考え方です。もともとグローバルな宗教であるキリスト教の枠の中で、普遍的価値を聖書(神の言葉)に求めず“人間の理性”で探求していこう、学問と信仰を切り分けて、学問を追求しようと言い始めた。これが近代革命=理性中心主義につながっていくのです。

理性中心主義は近代の哲学者・数学者のデカルトやニュートンに端を発しますが、根本は唯名論にあるということです。唯名論は西欧社会に根深く浸透し、西欧人独特の思考パターンを生み出したのです。

17世紀以降、ニュートンら多くの科学者により、新たな宇宙論である理神論が提唱され、科学革命が起こり、圧倒的な軍事力を持つヨーロッパ人は、近代革命を知らない他文明の人々を「理性が足りない野蛮人」とみなし、欧米による世界征服、植民地支配につながっていきます。

19世紀には、ダーウィンの進化論の「適者生存」という概念が社会に応用されました。これがいわゆる社会ダーウィニズムです。進歩史観と結びついた社会ダーウィニズムは、西欧諸国の帝国主義を正当化する理論として機能しました。

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