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このままでは「日本は失われた40年」へ突入する 「2050年の日本経済」へ向けて、総括が必要だ

東洋経済オンライン / 2024年12月28日 8時30分

しかし、90年代以降、「右上がり」の前提が成立しなくなり、ガバナンスを放棄していた資金提供者の資金は失われ、企業の資源の有効活用もできなくなった。(中略)経営の転換が図られなかった日本企業は十数年間、部分的なリストラに終始し、活力は衰退した。ガバナンス主体の不在が90年代の衰退をもたらしたのである。>

学者としての私は、この後の20年間、進歩しなかったが、日本経済も同様に進歩せず、私も日本経済も、続く20年を失い続けた。

つまり、1990年代に続き、21世紀に入ってからの10年間も、日本経済が停滞したという認識が続いたのは、21世紀の日本経済に対応した新しいシステム、ガバナンスメカニズムという狭い領域だけでなく、日本経済全体の新しいシステムが提示されなかったこと、新しいシステムに移行しようとしなかったことによるのだ。不良債権処理が終わり、1990年代のバブルの後始末がようやく終わった21世紀においても、日本経済は新しいシステムが存在しなかった。ビジネスモデルすら存在しなかった。

その理由は、第1に、1990年代の不良債権処理に時間がかかりすぎたことであり、第2に、1980年代にバブルに酔ったために、1980年代、調子のよい時代に21世紀を見据えた次の時代への戦略を、企業も政府も経済学者も立てなかったことにある。

前者の理由は広く共有認識されているが、後者は20年前から筆者は主張し続けているが、誰にも相手にされてこなかった。しかし、重要なのは後者なのである。

1980年代、ソニー(現ソニーグループ)は何でもできた。しかし、成功に酔い、ソニー礼賛の風潮が世界を席巻した。ソニーが次の手を打てば、誰もがそれについてきて、世界はソニーシステムに支配された可能性もあったのに、ただ自由に好きなことができる状況に酔い、社員はソニーの社員であることに酔い、何もしなかったようにみえた。

21世紀になっても、アップルから「iPodなどを一緒にやってくれないか」などと頼まれたのに、あえて断って、自分たちが1980年代にやっていたことを21世紀にもやろうとして、結局、行く場所は未来どころか、現在にもなく、過去に戻り続け、自滅した。

アメリカのテックバブルとは、どこが違ったのか

ソニーをやり玉に挙げたが、日本経済全体がそうだった。「ジャパンアズナンバーワン」と持ち上げられ、自分たちでインフレさせた株価と円高で、株式の時価総額世界ランキングは日本企業が独占し、東京の山手線の内側の土地価格で、アメリカ全土が買えるという試算を出して、喜んでいた。そして、ロックフェラーセンターを馬鹿高い価格で買って喜び、そのあとは何もしなかったのである。

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