ソニーVSキヤノン、ミラーレスカメラで頂上決戦 今冬商戦で初めて旗艦モデルがガチンコ勝負に
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 7時30分
ソニーグループは2024年12月にフラッグシップモデルであるミラーレス一眼カメラ「α1」の後継機「α1 II」(99万円)を発売した。AI技術を活用したオートフォーカス性能などで評判を集め、発売直後から納期半年待ちという人気を見せている。
プロ・ハイアマチュア向けデジタルカメラ市場は長年、キヤノンとニコンが双璧を成してきた。しかし、近年ではミラーレスカメラの先駆者であるソニーが台頭。ミラーレスは静音性や高速連写性能に優れ、報道関係などプロの間でも一眼レフに代わる選択肢として定着しつつある。
ソニーの強みはグループ内で展開するイメージセンサー事業の存在が挙げられる。高速で動く被写体でもゆがみなく撮影できる「グローバルシャッター」を搭載するなど、最新のセンサー技術を活かして性能を高めていることが特徴だ。
ソニーがキヤノン・ニコンの牙城崩す
ソニーはプロ向けで後発ながら、2014年以降にプロへの機材貸し出しや技術サポートを強化してきた。2020年にはアメリカのAP通信と提携し、同社のカメラマンに「αシリーズ」を供給している。
ニコンを長年愛用してきた国内のプロカメラマンも2021年発売のミラーレス一眼「α1」をきっかけに、本体もレンズもすべてソニー製に買い替えたという。「近年はソニーの性能向上が顕著だ。ニコンには満足できるミラーレスがない」と一刀両断する。そのうえで「外国通信社を中心にソニーへ機材を切り替えるカメラマンが増えている」と明かす。
2024年7月にアメリカのトランプ次期大統領が選挙集会中に銃撃された際、耳に傷を負った同氏が右手を高く掲げた写真「奇跡の1枚」が世界中で話題になった。それを撮影したのはAP通信記者で、使用したカメラはソニーが2024年1月に発売した、高速連写性能を強みとする「α9 III」だ。
「α9 III」は2024年夏に開催されたパリ五輪でも目玉モデルとなり、報道カメラマンからも注目が集まった。ソニーはキヤノンやニコンの牙城だったプレスセンターで、両社に匹敵する規模の専用ブースを設置し、カメラ600台以上とレンズ1300本以上を用意。これまでの五輪では小規模な展開に留まっていたが、競合に引けを取らない体制を整えた。
スポーツ写真などに使うプロ向け機材では従来、キヤノンとニコンがシェアを分け合ってきた。特に、世界中のプロカメラマンが集まる五輪では、キヤノンの白いレンズ、ニコンの黒いレンズが並ぶことから「白黒戦争」と称されるシェア争いを展開してきたが、そこにソニーが割って入ってきたことが鮮明になっている。
キヤノンも満を持して旗艦モデル投入
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