「牛丼店にもイクラ」日本人が知らない資源の実態 すき家や松屋に登場、イクラ丼から考える水産資源
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 9時20分
牛丼チェーンのすき家と松屋が、12月半ばからイクラ丼を期間限定で販売したことで話題になりました。この件に関して記事を書く依頼がありましたので、筆者も実際に買って食べてみました。
今年(2024年)はサケの漁獲量が前年比で減り、国産のサケの価格が上がっています。サケの魚価が上がればイクラの価格もあがります。ところが、すき家も松屋もイクラ丼の価格は980円〜となっており、なぜ消費者に手が届きやすい価格で提供できるのでしょうか?
2社ともイクラの原料の産地は「非公表」としていますが、この価格を実現できたのは、国産のサケ(シロサケ)の卵(イクラ)ではなく、粒が少し小さい輸入品のカラフトマスの卵を使ったイクラを恐らく使用しているからではないかと考えられます。
イクラに限らず、サケ、サバ、シシャモ(カラフトシシャモ)をはじめ多くの国産水産物は、輸入品に切り替わっています。ところが水産物の需要は世界全体では伸び続けていますので、輸入価格は上昇を続けています。
一方で、そうはいっても相場品です。供給が増えれば一時的に相場は下がります。あくまでも凸凹を繰り返しながらの中長期的な上昇なのです。
サケの不漁が深刻なのにイクラを食べ続けていい?
ところで、日本では不漁が深刻化しているサケとその卵であるイクラを食べ続けても問題ないのでしょうか? その答えは「問題ない」です。
しかしながら、そのイクラはサケの資源の持続性が担保されている場合に限ります。日本が輸入しているアラスカやロシアのサケやマスのイクラは、取得が難しい国際的な水産エコラベルである「MSC漁業認証」を取得しているケースが多く、それができています。
日本のサケ類の漁獲量推移は次のグラフのとおり減っている傾向がわかります。なおサケ類にはシロサケのほかにカラフトマスなどが5%程度含まれていますが、ほぼシロサケです。なお、アラスカやロシアはカラフトマスの数量が、その年のサケ類の水揚げ量に大きく影響し、イクラの相場を大きく左右させています。
アメリカとロシアはサケ類の漁獲量が増加傾向
次のグラフは、太平洋におけるシロザケ、カラフトマス、ベニザケなどのサケ類の漁獲量推移を示しています。紺が日本、青緑がアメリカ(主にアラスカ)と紫がロシアです。日本は減り続けているものの、アメリカとロシアは凸凹があるにせよ減少どころか増加傾向であることがわかります。
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