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新幹線で「マナー違反」する側が不満を表明する訳 年末年始の帰省シーズンに考えたい、マナー論争

東洋経済オンライン / 2024年12月29日 8時50分

亮さんは以前、豚まんを食べた際、近くにいる乗客から「舌打ち」された経験を明かしつつ、「今更だが別に良くない? 俺は隣で嫌いなパクチーを食べてても何とも思わない。今、カレー煎餅を開けたい」と投稿。

最終的に車内では食べず、自宅に持ち帰りつつ、「配慮が本当の正義ならば、ルールや法律にした方が良い」との疑問を投げかけた。

今回の本題である「なぜ新幹線マナーは話題になりがちなのか」を考えたときに、この亮さんの着眼点は重要なポイントだ。鉄道会社側が明文化しているルールと、乗客間による暗黙のマナーが混在していることが、トラブルの温床となっているのではないか。

当然ながらルールは守らなければならない。先に出した例で言えば、「グリーン券を持たなければ、グリーン車に入れない」は、決まりごとに分類される。一方で、「カードゲームのように通行を大きく妨げる行為をやってはならない」などと明文化されているわけではない。

ちなみに亮さんの件は、厳密にはNGになる可能性もある。JR東海の旅客営業規則では、車内に持ち込めない品として、「不潔又は臭気のため、他の旅客に迷惑をかけるおそれがあるもの」(第307条)が挙げられている。

ただ「臭気」の定義は、人それぞれだ。運用実務を考えれば、食べ物、それも駅構内で販売されているものであれば、(少なくとも現場では)黙認される可能性が高いだろう。

鉄道ネタはマナー論争に参加しやすい

新幹線のマナー論争が盛り上がる理由としては、「鉄道ネタはファン層が厚い」こともある。一部ファンの中には、強い正義感から、異論に対して攻撃的な姿勢をとる人もいる。もちろん良識的なファンが大多数なのだが、SNS上では「目立つ人」の声が拡散されやすい傾向がある。

そこにファン以外の「あるある」が掛け合わされる。鉄道やバス、飛行機などの公共交通機関で移動した経験は、あらゆる人にあるだろう。誰にでもシチュエーションが思い出されることから、「もし自分の身に降りかかったら」と想起しやすい点も、マナー論争に参加しやすいポイントだ。

また、トラブルに巻き込まれた人が、投稿したくなる要素もある。多くの乗客は「移動そのもの」よりも、むしろ「到着地での用事」を重視している。そのため、旅行者は「ワクワクを邪魔された」、出張者は「仕事に集中できなかった」と感じるのではないか。

そもそも、数時間にわたり同じ空間で、赤の他人と過ごすこと自体がストレスになる。殺気立っていれば、そのぶん周囲の環境が気になるものだ。普段なら無視できることでも、とりわけ強く気になってしまう。

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