ヴィレヴァンが知らぬ間にマズいことになっていた【再配信】 「遊べる本屋」はなぜ魅力を失ってしまったのか
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 8時0分
【チェーンストアや都市に対する豊富な知見、フィールドワークを通じてたくさんの記事を執筆されている谷頭和希さん。2024年に配信した記事の中でも、とくに反響の大きかったものをお届けします。こちらは2024年1月に公開した記事の再配信です。】
「遊べる本屋」、ヴィレッジヴァンガード。「ヴィレヴァン」として全国に店舗を広げる同店だが、知らないうちにそこそこマズいことになっていたらしい。
というのも、2023年11月中間決算によると、営業損失が7億4900万円で、前年同期の1億7600万円の損失から赤字が拡大しているからだ。既存店の数はここ数年で減り続けており、それによる単純な減収、そして人件費や物価高の影響も響いている。
売上高ベースで見ると、2016年5月期が最高収益で、467億5800万円。ただし、そのときも営業赤字は2億円ほど出ている。2007年に買収した中南米雑貨の「チチカカ」が、その経営の足を大きく引っ張っていたようだ。
2017年にはチチカカを売却し、ヴィレヴァンのみでの営業を続けているが、その後も黒字化と赤字転落を繰り返し、経営の足取りはふらついている。
ヴィレヴァンのジレンマ
ライターの不破聡は、こうした迷走の背景について、コロナ禍によって同社がオンライン事業に力を入れたことの影響を挙げる。
ヴィレヴァンの大きな特徴は、本やCD、DVDといった雑貨がジャンルレスにそこかしこに並べられ、まるで洞窟のようになっている店内空間だ。エンターテインメント性を押し出した店舗の空間こそ、ヴィレヴァンの強みの一つだった。だから、オンライン事業への注力は、その強みが生かせなくなるジレンマを引き起こすのだ……と、不破は言う。(続々と店舗を閉鎖するヴィレッジヴァンガード。オンライン化を遮る“壁”/日刊SPA!)
とはいえ、ヴィレヴァンの収益全体におけるオンライン事業の割合はさほど高くなく、私はむしろリアル店舗の空間の作り方そのものに、ヴィレヴァンの業績が不安定な要因が隠れているように思える。
私はこれまで、チェーンストアをはじめとする商業施設について、空間という切り口から分析してきた。ここでは、それらの知見も生かして、ヴィレヴァンの空間に潜んでいる問題点をあぶり出してみよう。
ヴィレヴァンは「世界観」を大事にしてきた
まずは、ヴィレヴァンの店を訪れてみる。店内の通路はゴチャゴチャしていて、迷路のよう。うかうかしていると、さっき通った道に戻ってきてしまう。
この記事に関連するニュース
-
吉野家の「おしゃれ化」に抱く"モヤモヤ"の正体 進むファミリー向けへの転換、その成否は?
東洋経済オンライン / 2024年12月27日 8時40分
-
全国のヴィレッジヴァンガード300店舗をまわり“恩返し”する男性。「僕はヴィレヴァンに救われた」と語るワケは
女子SPA! / 2024年12月12日 8時47分
-
ヴィレヴァンに行ったら「本棚の一番上を見てほしい」ワケ。全店舗をまわるファンが熱弁
女子SPA! / 2024年12月11日 15時47分
-
昔のヴィレヴァンにあった“ちょいグロやアダルトな商品”が消えたワケ。300店舗まわる熱烈ファンが語る
女子SPA! / 2024年12月10日 8時46分
-
大幅赤字のヴィレヴァン、苦戦の理由は“意外なところ”に。300店舗まわる熱烈ファンが感じた「本当の弱点」
女子SPA! / 2024年12月7日 8時47分
ランキング
-
1大人気ゲーム「マインクラフト」、“22円”の謝罪→ユーザーから称賛の嵐「むしろ払いたい」
オールアバウト / 2024年12月28日 20時45分
-
2「突然、免許失効だと言われました。無事故無違反なのになぜですか?」 突然のゴールド免許剥奪? 実は自分に理由があった? 気をつけたい「うっかり」とは
くるまのニュース / 2024年12月29日 14時10分
-
3「2ならば1+1」は正しい?SNSで議論を呼んだ“中学2年生の疑問”に東大生5人が回答
日刊SPA! / 2024年12月29日 15時53分
-
4トースターでお餅を焼くと中がかたいまま…上手に焼くコツをタイガーが伝授!「予熱」より「余熱」がおすすめ
まいどなニュース / 2024年12月25日 17時45分
-
5「ついユニクロ・GUばかり買ってしまう40代」が見逃しがちな、高コスパ“低価格ブランド”4選。大人も満足するポイントは
女子SPA! / 2024年12月29日 8時47分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください