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「図解と文章」の伝達力の違いを"図解"してみる 1度で理解できないような文章は「悪文」である

東洋経済オンライン / 2024年12月31日 18時0分

表やグラフの多用や、簡単なパターン化した図などを「見える化」と呼んでいるようですが、文章だけよりは進んでいるとは思いますが、十分ではありません。また、絵や動画などを使うと、イメージが鮮明にわかるという面はありますが、「構造や関係」は曖昧になってしまいます。

私たちは、「全体の構造」と「部分同士の関係」を見える化することによって、「腑に落ちる」という深い理解に達することができるのです。

「文章」「箇条書き」「図解」の違いを知る

文章は最後まで読まないと全体像がつかめません。一方、図解は、ものごとを素早く簡単に理解できます。図解を使った説明は、文章よりも容易に頭に入ってきます。

まずは、下図①の文章を読んでみてください。

それほど難解な文章ではありませんが、理解するのに多少の時間がかかるでしょう。文章は、最後まで読まないと全体像がつかめないのです。

さまざまな物事の関係性が見えてくる「図解」

①文章の場合

出来事がすべて文字ベースで語られていると、強調点や時系列がわかりにくく、読み解くのに時間がかかってしまいます。

②箇条書きの場合

では、箇条書きにするとどうなるでしょうか。それが、図②のメモですが、こちらもわかりやすい説明とはいえません。たんにキーワードを羅列しているだけで、各項目の関係性や時系列が明らかにならないからです。

③図解の場合

そこで、図解の登場です。図の③を見てみましょう。まず目に入るのが、二重マルで囲まれた「10%カットに成功」という情報です。図解にすれば、このように強調すべき事柄を目立たせることができます。

そのほか、目標達成のプロセスが瞬時にわかるのみならず、総務部・株主・一般会員・取引先など関係者同士の構図もすぐにつかめます。つまり、図解とは、重要性や関係性や時系列を含む「ものごとの構造と関係を表現する技術」なのです。

図を描くことで「描き手」の理解も深まる

そのメリットは「読み手にとってわかりやすい」ことだけではありません。「描き手」の理解力も高まるのです。自分なりに構図を考えながら図解を描いていると、自分がどこまで内容を把握しているのかが明確になります。

「箇条書き」は、よく考えると問題があります。箇条書きには、各項目の優先順位や大きさあるいは因果関係などが盛り込まれていないからです。

項目間の関係をも表現できる図解は、箇条書きの情報をさらにもう一段深めた表現法であるといえます。

文章は、細かなニュアンスや言葉のあやで微妙な表現も可能ですが、図解は細かな部分は省いてしまうので情報の整理がすっきりとして切れ味がいいという特徴があります。

思い当たることがあると思いますが、文章は自分が十分に理解していない場合でも理解しているような顔をして書くことができます。

図解は自分が理解していない場合は、人に見せることを躊躇してしまいます。図解では描いた本人の理解度がモロに出るため、ある程度の自信がなければ、人に見せることにためらいが生じるのです。だから、さらによく考えようとする。それが大事なのです。

久恒 啓一:多摩大学名誉教授、宮城大学名誉教授、NPO法人知的生産の技術研究会理事長

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