Google、Android XRで拡張現実の境界を超える AIとXR、ヘッドセットと眼鏡が開く新たな可能性
東洋経済オンライン / 2024年12月31日 7時40分
ただ、スマートグラスはVRヘッドセットよりもかなり小さく軽いバッテリーで動作する必要があり、そのためには搭載するプロセッサーの性能も犠牲にする必要も出てくるかもしれない。Android XRには、負荷の高い処理を紐付けたスマートフォンに肩代わりさせる「split-compute configulation」機能がある。これを使うことで、実質スマートグラスはARに必要なセンサーやマイクとディスプレイがあれば良くなり、メガネとしてのデザインもいろいろなものが作れるようになる。これはRay-BanとMetaが製造するスマートグラスに近いアプローチと言えるだろう。
サムスンのAndroid XRヘッドセットは、前面を覆う黒いガラス(?)部品により、アップルの「空間コンピューティング」デバイス、Vision Proヘッドセットを意識しているように見える。Vision Proは今年6月に日本でも発売され、発売日には行列もできたようだが、その価格は約60万円と非常に高額だ。おそらく、Android XRデバイスも最初はそこそこ高額になると考えられる。
しかし、GoogleはAndroid XR対応デバイスの開発をサードパーティ企業に開放しており、ソニー、XREAL、Lynxといった企業が開発中の製品でAndroid XRに対応することを明らかにしている。複数の企業が競争し、新製品の開発とコストダウンが促進されれば、すでにVision Proの機能を絞った廉価版を開発しているとうわさされるアップルのヘッドセットデバイスよりも、安価かつ魅力的な製品も登場するかもしれない。
Android XR製品が普及するかは未知数
Android XR製品が一般に広く普及するとすれば、それはスマートグラス製品のほうになるかもしれない。ヘッドセット製品は、長時間装着するとデバイスの重さやバンド部分の締め付けなどが辛くなってくるとの感想を持つ人が多い。また顔や頭部を覆うことでメイクや髪型が崩れてしまうため、特に女性には支持されにくい。一方、スマートグラスなら、小型・軽量化次第でもっと気軽に装着できるようになり、外観的にも違和感のないデザインを採用可能になるだろう。外出先での活用の仕方も、まだまだ拡がる余地がありそうだ。
いずれにせよ、来年にはAndroid XRを搭載する製品が出てくるので、それを試し、購入した人々がどのような評価を下すのか、だれもが欲しいと思わせるものになっているのかに注目したいところだ。
タニグチ ムネノリ:ウェブライター
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