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掃除機は効果ナシ「餅を詰まらせたとき」の対処法 2年間で高齢者661人が亡くなる、生存率は17%

東洋経済オンライン / 2025年1月1日 8時20分

餅を詰まらせたときの対処法は?(写真:Ayleeds/PIXTA)

正月で気をつけたいことの1つに「餅による窒息」がある。

【画像で見る】餅を詰まらせたときの対処法の1つ「背部叩打法」

久しぶりに子どもや孫と過ごす一家団欒の最中に突然不幸が襲う。注意すれば予防できるため、残された家族には後悔が残ることが多い。だからこそ、予防法やのどに詰まったときの対策を多くの人に知ってもらい、被害者を減らさなければならない。

年間300人近くが「餅」で亡くなる

わが国では、毎年大勢の高齢者が餅による窒息で亡くなっている。消費者庁の調査によると、死者数(65歳以上)は2018年に363人、19年に298人だ。2年間の合計661人中127人が三が日の間に亡くなっている。65%が75歳以上だった。

高齢者が餅を詰まらせると、窒息死する確率が高い。

東京女子医科大学を中心とした研究チームが、2018年に『疫学雑誌』に発表した研究によると、餅によって窒息を起こした場合の1カ月の生存率は、17.2%に過ぎない。

餅が窒息を起こしやすいのは、粘り気があり、付着性が強い(くっつきやすい)からだ。

粘り気や付着性はゼリーの約100倍ともいわれている。これは餅米を構成するデンプンのほぼすべてが、アミロペクチンという成分で構成されているからだ。普通の米(うるち米)のデンプンは、アミロペクチン75%、アミロース25%で構成される。

アミロースは直鎖状の構造であるのに対し、アミロペクチンは枝分かれ構造を持ち、絡みやすい。このため、粘度や付着性が高まる。

さらに、雑煮などで温めた餅は、口に入れた後に温度が下がり硬くなるため、飲み込みにくくなる。飲み込む力が低下している高齢者ではなおさらだ。この結果、高齢者は餅をのどに詰まらせやすい。

余談だが、高齢者では十分に消化されなかった餅が大腸に留まって詰まり、腸閉塞(イレウス)を起こすこともあるようだ。2024年3月に香川大学の医師たちが『臨床症例報告誌』に発表している。

高齢者が餅を食べるときの注意点

では、どうすればいいのか。

筆者は、過去に誤嚥性肺炎と診断されていたり、食事中にむせることが多かったりする高齢者には、餅は避けるようにと指導している。嚥下機能が低下していて、餅を詰まらせて窒息を起こしやすいからだ。

どうしても食べたい場合は、
▼小さく切ること
▼ゆっくりよく噛むこと
▼水分を一緒に摂ること
▼周囲に人がいるときに食べること

を心がけてほしい。料理をする人は軟らかくして、とろみを加えるといい。このような対応をとることで、詰まらせて窒息するリスクは減らすことができる。

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