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子どもの遊びに必要な「主体性」と「無意味性」 目的がないからこそ身に付く能力

東洋経済オンライン / 2025年1月2日 11時0分

そこでは「ドリブルの練習をしよう」ではなくて、ただ子どもたちにボールを渡して、それを蹴って遊ぶだけなんです。

窪田:まさに遊びの要素ですね。

為末:そこで言われたのが、「スポーツをしたいだけだったら、なぜトレーニングする必要があるのか」ということでした。キャンプをするときに、キャンプのトレーニングはしないですよね。

それなのに、なぜかスポーツだけは「向上しなければならない」という強い思い込みがある。その思い込みがなければ、ただプレーをして遊んで帰ればいいだけなんです。

窪田:目的なく、ただ楽しめばいい。その考えが広まれば、もっと子どもたちがスポーツを楽しめそうです。スポーツをする「play」と、遊びの「play」は同じ単語ですからね。

為末:窪田先生はアメリカで子育てをされましたが、外遊びの環境はどうでしたか?

窪田:アメリカは公園やレクリエーションセンターがたくさんあるので、外遊びが当たり前にできる環境でした。ボランティアも充実していて、放課後には親が交代で校庭に立ち、子どもたちが危ない目に遭わないように見守っていました。

為末:地域全体で子どもを守る文化が根付いているんですね。

窪田:子どもから目を離すことが許されない社会というか。安全上、絶対に子どもを1人にさせないことが徹底されていました。

だから、子どもたちは自然と外にいる時間が長くなる。その環境のおかげもあり、アメリカでは子どもたちの近視の有病率が低いんです。

為末:それをお聞きすると、やはり日本の都市部で外遊びができない問題は深刻だと感じます。

スポーツ選手は近視になりにくいのか

窪田:最近の研究でも、屋外での活動が近視を抑制することがわかってきました。為末さんはスポーツ選手との接点が多いと思いますが、実際に外で競技をしている選手に近視の人は少ないと思いますか?

為末:どうなんでしょう(笑)。調べたことがないので、正確な数字はわからないのですが、もともと競技のパフォーマンスに影響するので、近視は少ない傾向にあるかもしれません。あくまで私の肌感覚ですが、一般の人よりは少ないのではないかと思います。

窪田:日本全体で見ると、ここ20~30年で近視が倍増しているんです。小学校ではメガネをかけている子どもたちが増えています。

為末:そう言われると、メガネの選手が増えているという感じは特にしないですね。

窪田:おそらく、陸上選手は特に幼少期から外に出ている時間が長いので、近視が抑制されているのだと思います。

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