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谷桃子バレエ団の密着動画「賛否の嵐」とその先 "ガチの密着"で映像ディレクターも自問自答

東洋経済オンライン / 2025年1月2日 17時0分

「『死ね』とか言われるのは日常茶飯事ですよ(笑)」

チャンネル主であり、動画制作の依頼主であった女性インフルエンサーも、普段からネット上で活動している分、批判コメントに慣れていた。

「とにかくストレス発散できる場所をみんな探してるんです。一つの意見としては聞きますけど、真正面から向き合っても損ですよ」

さすが、20代で夜のお店をオープンしようと考える女性経営者は器が違うなと思った。

そんな姿を横で見ていたこともあり、今回のバレエ団のチャンネルに対してのネガティブなコメントに動じることはなかった。むしろ、ポジティブに捉えていた。

そもそも注目されていなければ、コメント自体が来ないからだ。

動画を見て何かを感じてもらえたからこそコメントが来る。それが応援コメントの場合もあるし、心配の声であることもあれば、若干批判的な意見が来ることもある。

どう受け取るかは、人それぞれだ。まず興味を持ってもらえているという事実がありがたく、喜ぶべきことだなと僕は考えていた。

ネガティブコメントに動揺するバレエ団

しかし、バレエ団側は違った。

次々と来るネガティブコメントに動揺を隠せずにいた。

実際には応援が9割で、ネガティブな意見は1割ほどなのだが、人間はどうしたってその1割に目が向いてしまう。バレエ団が動揺するのも無理はない。そもそも、動画の内容自体が彼らにとっては予想外のものだった。

踊りや作品のこだわりにではなく、お金にフォーカスした動画。ここまで生々しい裏側を描くとは思っていなかった。それでも僕を信じて、動画の制作を任せてくれた。

しかし、動画の配信が始まってみると「これ本当に大丈夫?」「バレエ団急にどうしちゃったの?」と心配の声が寄せられる。自分達のやっていることは正しいのか。そんな葛藤が生まれる。

客観的に見ていると「なぜバレエ団はそんなにネガティブになるのか?」と思う人もいるかもしれない。当時は僕もそう思っていた。

しかし、こうなってしまうのは当然といえば当然だった。伝統のある芸術を自分達の手で壊してしまうのではないか。今までやってきたことをすべて棒に振る結果になるのではないか。積み上げてきた年月が長いからこそ、不安も大きい。

僕はある意味、楽観的すぎた。良くも悪くも。バレエの、そして谷桃子バレエ団の歴史や背景を知らない分、大胆に行動できた。

この感覚の違いが、後々僕とバレエ団の間に大きな摩擦を生んでいった。

積み重なる担当者の迷いと不安

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