谷桃子バレエ団の密着動画「賛否の嵐」とその先 "ガチの密着"で映像ディレクターも自問自答
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 17時0分
「このまま続けて大丈夫なんでしょうか?」
沈んだ声で懸念を示す電話の相手はバレエ団の運営会社の担当者。僕の会社が作るキャバ嬢やホスト、日本の夜の仕事に密着するYouTubeチャンネルを見て、動画制作のオファーをしてくれた人だ。
動画の配信が始まってから、毎晩のように彼女と電話する日々が続いていた。YouTubeでバレリーナの密着動画を公開し、話題にすることでバレエ団の知名度アップ、チケット販売数の増加に繋がるはず。もともとはそんな思いで僕らにオファーをくれたのだ。
しかし、動画公開を始めて2カ月。次々と来る周囲からのネガティブリアクションにより、彼女の心は揺らぎ始めていた。
彼女自身も最初は、僕と同じく「バレエをまったく知らない人」だった。
4年前にバレエ団の運営に参入してから、おそらく相当勉強したのだろう。今ではバレエ団の人たちと遜色ないほどバレエの知識を持っていた。
そんな、「バレエを知らない一般の人」と「バレエを知っている人」両者の考えを理解できる彼女が、僕とバレエダンサーの間に入ってバランスを取ってくれていた。
密着撮影のたびに、「バレエダンサーはこういうところを撮られるのは嫌がると思います。でも先に私の方から意図を説明してできるだけ撮れるように段取ります」など、トラブルになりそうなところをすべて先回りして根回ししてくれていた。
次々と来るネガティブなコメントにダンサーたちからも不安や不満の声がたくさん届いていたらしい。しかし、それを密着ディレクターである僕に伝えると「動画の方向性がブレるかもしれない」と考え、伝えるのは必要最低限に抑えてなんとか上手くいくように駆け回ってくれていた。
団員だけでも150人近くいる。その一人一人の不安と向き合い、対応するのは並大抵のことではない。この担当者がいなかったらこのチャンネルを継続できていないだろう。彼女は真の立役者と言っても過言ではない。
しかし、そんな頼もしい彼女も限界を迎えようとしていた。
「着地はどこへ向かっているのでしょうか?」
電話口の声は完全に疲れ切っていた。初めて会った時のエネルギーに満ちた彼女とは別人のようだった。
ここで言う「着地」とは「お金面などのネガティブ面を映し続けるばかりだが、最終的にハッピーエンドはいつやってくるのか?」という意味だった。
「ガチの密着なので、ゴールがどうなるか僕も分かりません。でも本番の舞台が一つの『着地』だと僕は思っています。バレリーナたちの苦労を見せた後に、本番の舞台を観た人たちがどう思うのか、そこに答えがあると思います」
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