令和ロマンくるま「芸人総アイドル化時代」を分析 芸人はブームに対して上手く乗りつつも内心冷静
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 15時0分
M-1グランプリ2023でトップバッターで優勝した令和ロマン・髙比良くるまさん。優勝後即座に2024大会への出場も表明し、チャンピオンとしての異例な挑戦が注目される中、2年連続トップバッターという奇跡で会場を沸かせ、そのままM-1史上初の二連覇という偉業を達成しました。そんな稀代の漫才師が、M-1や漫才について縦横無尽に考察を巡らせた初著書『漫才過剰考察』から、くるまさんの見えている景色を読み解きます。
芸人総アイドル化時代の弊害
これからのM-1のトレンドは、単に今までの反動で考えるなら「お笑いファンから人気でネタバレされている」↔「お笑いファンの人気がなくてネタバレされていない」ような人たち。何だそいつらは。
でもファンが多いことがノイズになりやすい風潮にはなってきている。「顔ファン」論争、女性芸人のファンが「本当にお笑いが好きな男性」なのかという演者からの問いかけ。粗品さんも「ファンハラ(=ファン・ハラスメント)」とパッケージングしている。
ちょっとこの流れを軽く考えるか。まず第7世代以降のお笑いブーム、それによる芸人仕事の多様化によって露出が増え、人気がつき、雑誌のグラビアやグッズ展開などアイドル的な人気が出てきた。
こういったいわゆる「ワーキャー人気」のような状態はお笑い界が何度も繰り返してきた流れだが、今まではあくまでアイドル風なビジュアルの個人やユニットで起きた現象であり、現在の流れは「お笑い芸人全体」を対象としてそういう商売が行われている、という違いがある。
アニメやアイドル、バンドに芸人、それまで独立してたそれぞれの趣味を包括する「推し活」という風潮ができ始めて、様々なジャンルのヲタク様方がついでにお笑いも応援してくれるようになり、そのニーズに応える流れにはなっている。
いやまあ昔でもそういう展開をしていたら売れたんだろうけど、あの頃はそんなの芸人じゃない、とか昔気質の考えが主流だっただろうし、そういう商売に手を出さなくても何となく儲かっていたお笑い業界だったが、闇営業問題やらコロナやらテレビ離れやらでその「何となく」が通用しなくなってきて、ようやくマネタイズに漕ぎ出したのもあるな。
その「芸人総アイドル化」時代に肥大したSNSが加わって問題が大きくなってる。劇場内で静かに嫌い合っていたワーキャー的ファンとネタ原理主義ファンも、ネット上で「論争」ができちゃうから、派手にその話が展開しているように見えてしまう。その話題で出された芸人に対して「何となくファンが揉めてるイメージ」とかがついてしまう。
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