大河舞台「江戸時代」それ以前と異なる大きな変化 地理と日本史を一緒に学ぶことで見えること
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 19時0分
そして、人口が多くなるということは、その分だけ統治のシステムを効率的にしなければならなくなります。例えば、日本史の勉強をしている人の中には、「なぜ江戸時代はこんなに覚えることが多いのだろう」と疑問を抱く人が多いのではないでしょうか。
実際、江戸時代の政治体制や政治に関する用語が一気に増えますし、「享保の改革」「寛政の改革」など、おさえておくべき改革もたくさん出てきます。
文化についても、京都や大阪が中心になった「元禄文化」と、江戸が中心の「化政文化」の2つが登場します。
鎌倉幕府と江戸幕府の職制の違いを見ても、江戸幕府のほうが役職も多く、ごちゃごちゃしている印象を受けます。
統治のために複雑なシステムが生まれる
なぜ、江戸時代を境にこのような違いが生まれたのか? それはこの人口規模の変化が関係しているのです。統治しなければならない人も増えているわけですから、その分複雑な統治システムを作る必要があるわけですね。
ところでみなさんは、この当時の江戸(東京)の人口はどれくらいだと思いますか? 内閣府が公表しているデータによると、1700年代には江戸の人口は100万人を超していたのではないかと言われています。
今現在でも日本の中で人口100万人を超している都市は12しかないとされていますから、この時代に約100万人もの人口がいる江戸という場所の凄まじさがご理解いただけるのではないかと思います。世界的に見ても、この時代に100万人を超していた都市は存在していないのではないかという説もあるほどです。
一方で、それは、「江戸で生まれている人が多い」ということを意味しません。現代でもそうですが、江戸の人口は、江戸以外の地域で生まれた人たちが江戸に来ることで増えていったのです。
現代でも特に発展途上国でよく発生することですが、基本的に人口は、労働力として子どもをつくる、多産の思考が強い農村部で爆発的に増えます。その人口の一部が都市部に流入することで、都市部の人口も増えていきます。したがって、江戸時代の中頃には、現代の発展途上国の人口爆発と同じ現象が発生したと考えられるのです。
このような人口増加が起きると、江戸や大阪の街で働く人が増え、都市部での経済活動もどんどん活発になります。文化もどんどんと広まり、食料品だけでなく、芸術品や陶器なども飛ぶように売れるようになりました。
絵画が売れて、葛飾北斎を代表とするさまざまな画家が誕生したのも、この人口増加が背景にあると考えられます。人口規模が大きくなった分、経済活動の規模も膨れ上がっていったわけです。
人口が増えたことでさまざまな問題も発生
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