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KDDI「AIドローン構想」が示した警察支援の可能性 災害時も平時も、全国10分圏内を目指す

東洋経済オンライン / 2025年1月3日 7時40分

ドローンの飛行は全て警察署からの遠隔操作で行われ、現場の状況に応じて通常カメラとサーマルカメラを使い分けることで、臨機応変な対応を実現した。小雨が降る悪天候の中での実証となったが、防水性能を備えたドローンは正常に機能を果たした。

Skydio X10による国内初のレベル3.5飛行

今回の実証実験には、いくつかの重要な要素が組み込まれている。

まず、レベル3.5飛行(無人地帯での飛行)という新しい制度下での実施だ。2023年12月の航空法改正で新設されたこの制度では、条件を満たせば立入管理措置が不要となる。Skydio X10による国内初のレベル3.5飛行となった今回の実証は、制度面での一つのマイルストーンとも言える。なお、緊急時の捜索救助目的であれば、航空法の特例措置により即時の飛行も可能だ。

また、今回はモバイル通信を活用した遠隔での無人監視飛行を実現。Skydio X10は同社のドローンとして初めてのモバイル通信対応となる。au網を活用することで、地上と同様のエリアで高度150mまでの運用が可能で、この実力が示された格好だ。

ただし、実証実験中にはいくつかの技術的課題も浮き彫りになった。事前のリハーサルでは問題なく飛行できていたものの、本番ではモバイル通信のトラフィック状況により一時的な遅延が発生。また、2機目のドローンで接続トラブルが発生し、機体の電源再投入による対応が必要となった。KDDIスマートドローンの博野雅文社長は「実運用に向けては、通信の安定性をさらに高める必要がある」と課題を認識している。

警察活動へのドローン導入を巡る課題

能登半島地震や奥能登豪雨での経験から、ドローンの有用性は警察としても実感している。しかし、その実装方法については、KDDIが提案するような民間企業のドローン活用サービスを利用する方法と、警察が自前でドローンを保有・運用する従来型の方法のいずれが適切か、検討を要する段階だ。「企業との連携には整理すべき課題が多い」と大嶌本部長は慎重な姿勢を示す。

実際、今回は実証実験として警察署からの通信指令を受けてドローンが出動し、現場の状況を共有する一連の流れを確認したが、これはあくまで実験的な連携体制だ。大嶌本部長が「警察主導で行っているわけではない」と説明するように、将来的な実装方法については、今回のような民間企業との連携に限らず、様々な可能性を検討していく段階にある。

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