「トランプ関税は怖がらなくてもいい」は本当か あまり楽観的になるのだけは避けたほうがいい
東洋経済オンライン / 2025年1月3日 20時30分
次に、輸入品に対する追加関税の賦課も、最終的にはかなり骨抜きの政策となる可能性が高そうだ。確かに、トランプ次期大統領は公約として、中国からの輸入品には最大で60%、その他の国からのものも10%から20%の関税をかけると公言していた。また、昨年の11月25日には違法薬物流入に対する制裁措置として、中国からの輸入品に10%の追加関税を賦課すると、自身の運営するソーシャルメディアに投稿。さらに、移民や違法薬物の流入を理由に、カナダやメキシコからの輸入品には25%の追加関税をかける意向を示し、市場を驚かせた。
もっとも、こうした追加関税は、輸入品の価格を押し上げることで新たなインフレにつながる可能性もあるし、相手国が報復関税などの対抗措置を打ち出すことになれば、経済成長の足枷となるのは避けられない。
トランプ次期大統領はこうした関税を、相手国との交渉のカードの1つとして利用する可能性が高い。実際、1期目でも、少しでも有利な条件を引き出すために、当初は無理難題を吹っ掛けることが多かった。実際、関税が現実のものとなれば、大統領がいちばん嫌う株価の下落につながる恐れもあり、最終的にはアメリカ側も、かなりの歩み寄りも見せることになると、考えておいてよいはずだ。
こうした見方は、すでに多くの市場関係者が共有しており、最近では「トランプ関税恐るるに足らず」といった論調も増えてきている。
しかしながら、トランプ次期大統領の性格を考えると、こうした市場などの楽観的な予測などが、かえって問題を深刻なものとするリスクがあることにも注意が必要だ。「自己顕示欲の塊」と言っても過言ではないトランプ次期大統領は、自分が軽く見られることに対して、過剰な反発を見せることが多い。彼の関税案を市場が軽く見て、ことごとく無視するような格好となれな、意地になって高関税をかけようとする行動に出ることも考えられるはずだ。
相手国が強い報復措置を打ち出してくればなおさらで、反撃を受けてすごすごと引き下がったと評されるのを恐れ、とことん強硬な措置に出ることがあっても不思議ではない。もちろんその際には、株式市場も相当な痛手を受けることになるのは避けられない。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
松本 英毅:NY在住コモディティトレーダー
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