ゴルフ場ドタキャン対策「キャンセル料」導入の波 "お天気商売"で「触らぬ神に祟りなし」だったが…
東洋経済オンライン / 2025年1月4日 8時0分
ところが、同じゴルフ場でデータを取ると、いっぱいのはずの土・日曜日の入場者の伸びは1.4%(2022年度)ほどしかなかった。それはキャンセルの影響だった。
「ゴールデンウィークに調べたら、36ホールのコースで98枠が予約されていたのに、終わってみれば70組だったということもありました」(門伝氏)。23年は全予約の8%、約72万人の直前キャンセルが発生したという。
「とりあえず予約しておこうということではないかと推定できます」(門伝氏)。1人1万円とすれば72億円がキャンセルで失われていることになる。
何より、キャンセルはゴルフ場側に負担がかかる。「売り上げを失うのもそうなのですが、予約に応じた準備をしているので人件費の増加、食材の仕入れのコスト増やフードロスなども起きる」と、門伝氏。キャンセルが増えれば入るものが入らず、出ていくだけになる。結果、プレー費の値上げなどにもつながりかねない。
そのようなとき、ロシアのウクライナ侵攻で始まった世界的な物価高騰もあり、PGM傘下のゴルフ場担当者から「キャンセル料を取れないか」という声が上がったという。
そこで、そのゴルフ場独自で理事会決議をし、キャンセル料を徴収するようにしたところ、キャンセルが減少。実際に効果が確認できたことから、PGMの運営するコース全体でキャンセルポリシーを作り、実行していくことにした。
「何十年もキャンセル料を取っていなかったので、スキームをまとめるのに時間がかかった」という。地域性などもあって、キャンセルポリシーは4パターン作ってゴルフ場側で選択した。
ちなみに、地方の中堅ゴルフ場では、2組以下の場合、プレー日当日を含む7日前から土日祝日は1組当たり8000円、3組以上はプレー日当日を含む7日前から平日1組当たり4000円、14日前から土日祝日1組当たり8000円などとなっている。無連絡の場合は予約時料金の100%がキャンセル料となる。
キャンセル料の請求は、ホテルなどにも導入が進んでいる他社のシステムを利用しているという。「シンプルに、名前と携帯番号のみ入力すればいい」と利用者側の手間は省きながらも、確認のショートメールでキャンセルポリシーも改めて提示している。
「ゴルフ場のクローズ以外は原則請求する」というキャンセル料は、プレーヤーにとっては少しプレッシャーになっているようだ。徴収を開始した10月の土日8日間を前年と比較してみると、1コース当たりビジターが平均40人増えたそうで「キャンセルを踏みとどまったのかと思われます」という。
キャンセル料請求は当たり前になるか
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