写楽や歌麿を世に送り出した蔦重のスゴい仕事術 NHK大河「べらぼう」主人公に学ぶ仕事のコツ
東洋経済オンライン / 2025年1月5日 16時0分
2025年NHK大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」の主役となることで脚光を浴びている、蔦屋重三郎。喜多川歌麿や東洲斎写楽らを世に送り出した、稀代の敏腕プロデューサー、出版人として知られている人物です。新たな仕掛けを次々と打ち出し、江戸の出版界に革命を起こした蔦重の仕事術は、現代のビジネスパーソンたちにとっても学びの宝庫。「圧倒的な仕事を出す人」の秘密がここに詰まっています。車浮代著『仕事の壁を突破する 蔦屋重三郎 50のメッセージ』から一部抜粋してお届けします。
最優先事項だけ自分でやって、あとは潔く人に任せる
いつも余裕がなく、時間に追われている。忙しい現代ビジネスパーソンの方々にとって、時間の足りなさは普遍的な悩みであることでしょう。もっと時間があったなら……そんな嘆きを抱えながら、私たちは日々を生きています。
そんな多忙な日々を緩和してくれるのは、「自分以外の人の手を借りる」あるいは、「自分以外の人に任せる」ということです。
できる人ほど、お願い上手です。自分の手に負えないことは、潔くほかの人に託すというスキルに長けているのです。
そうすることで、自分が一番優先したいことに、時間もエネルギーも惜しみなく注ぐことができるようになります。
蔦重の1日は、とても長く、そして慌ただしいものでした。大門が開く朝六時は、遊女たちが宿泊客を見送る時間。おそらく蔦重も時には遊女たちに交じって、関係性をつくりたい大御所の見送りなどを行っていたことでしょう。
客の見送りを済ませた遊女たちは、一度仮眠をとり、十時頃に起床します。入浴と食事を済ませ、上級の花魁は稽古場に出向き、教養や技術を身につけるなどしていました。
その後、すぐに昼営業を迎えますが、昼の時間帯はさほど忙しいわけではありません。必然的に、このひとときは蔦重にとって、見世に貸本を持参して、彼女たちや見世の人間たちと交流し、情報を収集するための貴重な時間となっていきました。
そして客数も増える夕方を迎えれば、吉原を訪れる作家たちを接待したり、営業活動をしたりと、人脈づくりに余念がありませんでした。
書店を経営しながら、情報収集をしたり、人との交流の場に足しげく通ったりしていたわけですから、その毎日は超多忙なものだったことでしょう。
手が行き届かないところは番頭に任せていた
蔦重にとって何より大切だったのは、とにかく人と会って情報を集め、関係性を築いていくこと。それが最優先事項でした。
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