2025年、日本がもっと「後進国になる」根本理由 10年間、時計の針が止まった日本の末路
東洋経済オンライン / 2025年1月5日 10時0分
この10年の間に、世界の多くの国々が成長を遂げたのだ。そして、日本は変わらなかった。だから日本の相対的な地位が低下したのだ。
「同じ場所にとどまるには、一所懸命に走らねばならぬ。もし別の場所に行きたいのなら、その倍の速さで走らねばな!」
これは、ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』で、赤の女王が発した言葉だ。私はこれを「赤の女王の相対性原理」と呼んでいたのだが、最近では、キャロルが21世紀の日本を予測して、日本人に向けて発した警告ではないのかと思えてきた。
この間に世界経済に起きた大きな変化の1つは、中国経済の成長だ。しかし、2015年版『戦後経済史』では、中国について、中国が工業化に成功したことを、わずか数ページ書いたに過ぎない。
その当時の私は、中国の経済成長の影響を軽視していたわけではない。実際、2012年には、東洋経済新報社から『日本式モノづくりの敗戦』という書籍を刊行し、中国企業の重要性について述べた。その本のサブタイトルを「なぜ米中企業に勝てなくなったのか」としたのだから、中国経済の成長は重視していたつもりだ。しかし、実際に生じた変化は、予想を遥かに超えた。
日本人の思考法と基準・尺度が変わらなかった
このように、世界はこの10年間に驚くほど変わった。それにもかかわらず、日本は変わらなかった。日本国内では、この10年間、時間の進行が止まったようだった。そして、10年前の思考法と基準・尺度から脱却することができなかった。
最近、それを痛感させられるニュースが3つあった。
1つは、日産とホンダの提携を伝える新聞記事だ。仮に提携が成立すれば、世界で販売台数がトヨタとフォルクスワーゲンに次ぐ世界第3位のグループが登場すると報道されている。これは、自動車の販売台数だけにとらわれた発想だ。
しかし、時価総額で見れば、テスラは1.483兆ドルで世界第8位(2024年12月25日現在)。それに対してフォルクスワーゲンは、463.5億ドルで世界第425位。まるで比較にならない。
両社の時価総額の差が示しているのは、自動車がEVと自動運転車へ大きく変化しつつある事実だ。それを考えれば、販売台数が世界第3位という尺度が意味を失っていることは明らかだ。
もう1つは、シャープ関連のニュースだ。シャープは2016年に債務超過に陥り、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った。その後、シャープについてのニュースを聞くことがなかったのだが、2024年5月に、テレビ向け液晶パネルを生産する堺工場を停止し、大型液晶パネルの生産から撤退するとのニュースが伝えられた。
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