注目の不動産3セクターで明暗が分かれたワケ ホテル・データセンター好調、物流施設は苦境に
東洋経済オンライン / 2025年1月6日 8時0分
用地取得競争が激化し、建設費も高騰する中、新規にホテルを開業するハードルは高い。既存ホテルの改修で日本での展開を加速する外資系ホテルも増加しそうだ。
データセンター|2025年は売却、買収が増加
ファンドなどから新たな金脈として注目を集めるのがデータセンター(DC)だ。クラウドサービスの普及や生成AI(人工知能)の活用が進み、需要が急増している。
大和ハウス工業は千葉県印西市に「DPDC印西パーク」を建設中だ。全14棟のうち、すでに2棟が竣工済みで、DC事業者の豪エアトランクが運用を始めている。大和ハウスの更科雅俊執行役員は「建設中や計画中のものを含め各地で20棟のプロジェクトが進行している」と語る。
海外勢もDC開発に前のめりだ。アメリカのエクイニクスや豪グッドマン、香港のESRなどが首都圏や関西で建設を進める。
JLLの河西利信社長は「2025年はDCの流動化が進みそうだ」と見通す。2010年代から建設が進んでおり、テナントが入居し、安定的にキャッシュを生み出す物件も増えている。ファンドなどによるこうした物件の売却、買収が増加しそうだ。2024年にシンガポールのケッペル傘下のREITが東京のDCを買収するなど、成長性の高さに期待を寄せる投資家は多い。
ただ、課題もある。通信遅延を抑えるため、立地はデータを最も消費する都市部に近い首都圏や郊外に限定される。災害対策の観点から地盤が強固であることも重要だ。
また、稼働には大量の電力が必要になる。業界関係者は「建物ができても、電力会社が電力を供給してくれない。電力会社との関係構築が開発の要だ」と語る。
調査会社のIDCジャパンによると、DC内のIT機器を稼働させるために提供される電力容量は、2028年末に2023年末比で1.7倍の約3470メガボルトアンペアにまで急増する見通しだ。立地が限られる中、電力をいかに確保するかが今後の開発の焦点となる。
物流施設|立地による二極化進む
コロナ禍でのEC需要拡大を受け、首都圏で開発が過熱した物流施設だが、足元では供給増加の反動が出ている。
不動産サービス大手・CBREによると、2023年の首都圏でのマルチテナント型物流施設の新規供給量は2019年比約1.5倍の90.6万坪に膨らみ、空室率も9.3%(2019年は1.1%)にまで高まった。2024年、2025年も供給過多の状況が続き、空室率は9%台半ばと高止まりする見通しだ。
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