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「警視庁公安部」が"新設部署"に込めた深い意図 世界を震撼させる「ローンオフェンダー」に関係?

東洋経済オンライン / 2025年1月7日 9時0分

さらに、インターネットへのアクセスによって、過激派の見解に簡単に触れられるようになったことで、「“引きこもり”がいきなり暴力に訴える」というふうに思っている人も多いだろう。

だが、その見方はステレオタイプだし、少々危険でもあるだろう。「孤立した人間」の攻撃の矛先が、「思想的、政治的、社会的、または宗教的な目的」に向かうには、むしろ社会などに対する怒りを持つ“接点”や“要因”が必要だからである。

したがって、どの個人がテロ行為を犯すことになるかを評価するには、個人の経験や性格、特性などの要因だけに基づくことはできない。そうではなく、攻撃直前の実行犯の行動に基づくべきだ、というのが近年の潮流だ。

テロを起こす人は、先駆けとして「過激化」のプロセスを経ることがわかっている。つまり、人は「いきなり暴力に訴える」のではなく、徐々にイデオロギー的な目的で暴力を肯定したり、妄想的な計画を周囲に触れ回るなどの精神状態に陥るのだ。

ほとんどのLO型テロリストは、こうした「自己過激化」のプロセスを経ることがわかってきている。

「LO型テロリスト」予備軍の特徴

ここで注目されるのが、テロや銃乱射事件などの計画的な暴力行為につながる「警告行動」だ。これが、LO型テロの脅威を評価するうえで重要な役割をはたす可能性があると考えられている。

具体的には、3つの「警告行動」が知られている。

1:「漏洩」…実行犯は具体的に、テロ攻撃を遂行する意図について第三者に知らせようとする

2:「執着」…極度に何らかの人物やイデオロギーに没頭したり、ターゲットに関する情報の収集を公にしたりする

3:「同一化」…ヒーローまたは戦士であるという妄想、あるいは武器や軍事装備などへの強い関心がある

インターネットは間違いなく、個人を過激主義に引き込む最も大きなメディアであった。しかし同時に、テロ攻撃の前の警告行動を見つけやすくもする。事前に「予備軍」を発見するという新たな可能性も生み出している。

とはいえ、現在のインターネットの海には、恐ろしいほど大量の「警告行動」であふれている。情報を効率的に選別するためには、AI技術を使用してテキスト分析を行い、警告行動を高い確度で選び出していくことが必要不可欠である。

アメリカなどテロの脅威が相対的に高い国では、こうした分析に巨大な予算が割り当てられつつあるが、日本でも、過去の安倍元首相の殺害事件や、岸田文雄前首相への襲撃事件を考えれば、かなりの危機感を持って対処することが望まれる。

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