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「気づきを邪魔する」認知バイアスを自覚できるか 「二酸化炭素の排出抑制は地球のため」は本当か?

東洋経済オンライン / 2025年1月8日 15時30分

ほとんどの時間、二酸化炭素に覆われていたのが地球にとっての「自然な」状態であり、新しい侵入者である植物によって、酸素という毒を撒き散らされているという見方もできる。もし、地球に意思や好き嫌いがあるとしたら、酸素に覆われている現状は不愉快なものと感じていてもおかしくない。

家の中が汚いときに、家がかわいそうだとは考えない。自分が家を汚したのだから、自分のために家をきれいにしようと思うだけだ。家であれば、自分の存在を意識して思考することができるが、対象が「地球」のように大きくなると途端に客観視することが難しくなる。「地球に優しく」という類いの言葉が使われるのは、地球に感情移入して、みんながやる気になるようにするための、マーケティング手法でしかない。

「それは当然だ。人類に優しく、という意味だとわかっている人がほとんどだ」と反論する人もいるだろう。しかし、僕は「この地球を自分たちの都合のいい場所にしておきたい」という人類の欲望を、観察できていない人が多いのではないかと考える。人類や自分を観察の対象の外側に置いてしまっているのだ。

「メガネ」の存在を意識すると、観察の結果は変わる

「認知バイアス」「身体・感情」「コンテクスト」。観察を阻むことのあるこの3つの要素を僕は「メガネ」と呼んだ。人はこの「メガネ」から、無意識下で必ず影響を受けてしまう。そのことを意識し続けることは相当に難しい。メガネの存在を意識できるかどうかで、観察の結果は自ずと変わってくる。

その中でも、特に観察を歪ませるメガネが、「認知バイアス」だ。これは、自分の思い込みや周囲の環境といったさまざまな要因により、非合理な判断をする心理現象のことだが、人はそこから完全に離れることはできない。僕自身を含めて、誰もが何らかの認知バイアスをもち、その影響を受けている。

僕と父が似ている話は、「父親と僕は違う」という定義の中で現実を見ていたところから、歳をとり、「僕と父は同じだ」という定義の中で見るようになったら、気づくことが変わったという話でもある。これも、対象の見え方に、大きな影響を与えている。

僕は心理学者ではないが、どうすれば認知バイアスを観察に活かせるかを知りたくて、相当調べてきた。そのうえで思うのが、大切なのはバイアスから逃れることではない、ということ。自分は認知バイアスの影響を常に受けていると自覚して、それを意識しながらモノを見たり、判断をしたりすることだ。

佐渡島 庸平:コルク代表取締役社長CEO/ 編集者

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