初対面たった数秒で人を判断するのが妥当な理由 人間が太古の時代から培ってきた本能がそこに
東洋経済オンライン / 2025年1月9日 14時0分
私たちの脳は、生物進化の歴史を映し出す3層構造をしています。最も基礎となる部分は生存本能を司り、爬虫類と同じような機能を持つことから「ワニ脳」と呼ばれます。その上には感情を扱う「サル脳」、さらには人類特有の論理的思考を可能にする「ヒト脳」が重なっています。
この3層それぞれが、人とのコミュニケーションに影響を与えています。特に、初対面の相手を一瞬で判断するのは「ワニ脳」の働き。言葉以外のメッセージから、私たちは相手の危険性や信頼性を瞬時に見極めようとするのです。
ワニ脳を活性化させずに、トゲなく人を動かす他者と生きる術に迫った『あいては人か 話が通じないときワニかもしれません』より一部抜粋、再構成してお届けします。
「言葉の外」からこんなに伝わる
あなたがあまりにも大きな声で話すので、何を言っているのか聞きとれない。
――ラルフ・ウォルドー・エマソン(アメリカの思想家、文学者)
あなたが、私と会うことになったと想像してほしい。当日、私は「まあ、お会いできてうれしいです」と言いながら、あなたの顔をろくに見もしないで自分のスマホをチェックしている。どう見ても、あなたに関心があるとは思えない。
この場合、あなたは「お会いできてうれしい」という言葉を信じるだろうか?
わずか数秒で相手をジャッジする
私たちが目の前にいる人のイメージを確定するまで、わずか数秒しかかからないという。第一印象について研究する心理学博士、アンジェラ・アホラの知見だ。
秒でジャッジを下す──誰もが自分の意思に関係なくやっている。
一瞬で相手を判断するなんて馬鹿げていると思うだろうか。確かに、相手を一瞬で見きわめようなんて誰も思わないだろう。それでも、脳はそうやって学習しながら生存の可能性を高めてきた。
つまり脳は、私たちがいる状況をすべて、すばやくスキャンしているのだ。
初対面の人と会って最初に見きわめるのは、その人が友好的で気持ちが通じ合うかどうかだ。
人類は太古の時代、目の前の人物が敵か味方かを瞬時に判断するようになった頃から、ずっとそうしてきた。つまり、これは生存の機能なのだ。ワニ脳はこの機能を保持しつづけ、万が一敵と出くわしたとき、瞬時に行動できるよう待機している。
また、私たちは、相手が自信を持っているか、地位はどのくらいか、といったこともすばやく吟味する。この人の言葉は信頼できるのか? 話を聞くだけの価値はあるのか? また、その人が集団のどこに位置しているか、地位は高いのか、低いか、なども無意識に見さだめる。
自信があることが重要視される理由
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