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ホンダ「シビック」がマイチェンして人気化した訳 新設定のMT専用「RS」のマニアックな世界観

東洋経済オンライン / 2025年1月9日 12時0分

実はハードウェアの変更点も、かなりマニアックだ。1.5Lターボエンジン本体には何も手を入れず、シフトアップ時に素早い回転落ちを実現するシングルマス軽量フライホイールを採用している。また、シフトダウンの際にエンジン回転数を自動で合わせてくれるレブマッチシステムも装備。従来のECONだけでなくSPORT、そしてINDIVIDUALといった選択肢を用意したドライブモードスイッチも備わる。

サスペンションは車高を5mmだけ下げて、スプリングは11%ハードに。微低速域の応答性を高めたダンパーを組み合わせる。そして電動パワーステアリングは、操舵トルクを検知するトーションバーのねじり剛性を高めて、操舵感を向上させた。フロントのコンプライアンスブッシュを液封からソリッドに変更したのも、やはりフィーリング向上に貢献しているはずだ。

ブレーキはフロントのローターを大径化。サーボの制御ロジックを変更して、コントロール性を高めたと謳う。

飛び道具などまるでない微細なチューニングだということは伝わっただろう。しかも、これらはフライホイールはアメリカ仕様Siから、レブマッチシステムや電動パワーステアリングのトーションバーはタイプRからといった具合に、多くがすでにあるモノを賢く使って仕立てられているのもポイントだ。

実際の走りも、まさに狙い通り。普段使いから軽快、そして爽快なものに仕立てられている。加速の小気味良さはこれまで通りだが、シフトアップの際にはエンジン回転数がスッと下がり、リズム良く次のギアに入れることができる。

正直に言うと、従来モデルにだってそれほど不満を感じていたわけではなく、最近のエンジンはこんなものだろうというくらいのものだった。フライホイールの軽量化だけでこれほど切れ味が増すとは、ちょっとした驚きだった。

一方、シフトダウンの際には自動で空吹かしが入り素早く確実に変速できる。MTの煩わしさを取り除き、楽しさだけが抽出されている。もちろんヒール&トゥは大得意、助けなんて要らないという人は、システム設定の画面からレブマッチシステムをオフにすることも可能だ。

フットワークも、クルマとの一体感の強さが印象的だ。操舵感は心地よく、ロールが適度に抑えられたハンドリングも胸躍らせる。特に右に左に切り返すような場面での身のこなしの良さには、思わずペースが上がってしまう。

シビックRSが表現しているのは、原初的と言ってもいいクルマを操る楽しさ。今の時代に、こういうクルマが支持されたことには嬉しい気持ちにさせられた。いや、こういうクルマを出してくれたことには、と言うべきか。とりわけ走りの話になると、ついやり過ぎてしまいがちのホンダが、速さは程々に味を追求した結果が、いいかたちで出たことは間違いない。

シビック自体の改良もツボ

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