「まるで陣痛のよう」40代女性を襲った腹痛の正体 20代から婦人科系の病に悩まされていたという
東洋経済オンライン / 2025年1月12日 9時40分
■総合診療かかりつけ医・菊池医師の見解
総合診療かかりつけ医で、きくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師によれば、チョコレート嚢胞の患者が救急搬送されるケースは珍しくないという。
「腹痛の女性患者が来たら『妊娠、子宮外妊娠、チョコレート嚢胞、を疑え!』というのが、救急のイロハなのです」
チョコレート嚢胞の急患は、主に「卵巣捻転」によるものだ。卵巣捻転は大きさに比例して起こりやすく、4~5センチを超えるとリスクがより高くなるという。ねじれた部分の血流が悪化し、その先にある卵巣に血が行かなくなると壊死(えし)を起こすため、緊急手術が必要だ。
ただし、卵巣はねじれたり戻ったりを繰り返すので、壊死に至るケースは実際には少ない。
「画像検査で壊死が認められなければ、痛みを止める処置を行ってひとまずは終了」だそうだ。そして翌日以降、婦人科での手術が行われる。かおりさんはこのケースだった可能性が高い。
定期的な検査が重要な理由
菊池医師によれば、緊急手術だった場合、手術の難易度は上がる。
「緊急手術は予定手術と違い、患者さんの胃に食べ物が入っていることもある。その場合、窒息などのリスクが高まるので、それらの対策などを含めた術中管理が必要となるためです」(菊池医師)
したがって緊急手術にならないよう、チョコレート嚢胞があると診断されたら、定期検診で病状をしっかり理解しておくことが大事だという。
かおりさんのように突然、痛みが起こることもあるが、自身の病気についてわかっていれば、救急車を呼び、通院先の病院に搬送を依頼するなど、適切な処置を取ることができる。
チョコレート嚢胞の手術では、嚢胞だけを摘出して、卵巣を残すのが一般的。ただし、チョコレート嚢胞のなかにはがん化(卵巣がん)のリスクをともなうものもあり、危惧される場合(1%以下)は卵巣ごと摘出する手術になる。
疑問点などを主治医に聞いたうえで、最良の治療を選択してほしい。
菊池 大和:きくち総合診療クリニック
狩生 聖子:医療ライター
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