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コロナで販売急減「誕生100年の銘菓」が復活の背景 SNSで大量に販売できた経緯とは?

東洋経済オンライン / 2025年1月12日 8時20分

そもそも元祖鯱もなか本店の売上の7割は駅や空港などの「お土産需要」であり、残りの3割はほぼ大須にある本店での販売分。ネット通販の売上はほとんどありませんでした。裏を返せば、一番の伸びしろはオンライン販売だということです。

じつは、老舗企業や店舗の多くは、まだまだECサイトが整っていないのが現状です。そこで、知人に紹介してもらった専門会社に依頼して公式サイトのリニューアルを行い、インターネット上で簡単に購入できるシステムを整えました。

まずはサイトの訪問者に、「感じのいいページだな」と思ってもらい、長い時間滞在してもらえるようにしなければなりません。

老舗らしい格調を保ちつつも、現代に通じるような普遍的なイメージ、そして親しみやすい雰囲気をリクエスト。お客様視点で見て、文字や画像に違和感がないことも重要なポイントです。せっかくサイトを訪れてくれても、ほんの少しの違和感やモヤモヤが離脱に繋がります。スマホで見られることが多いため、スマホ画面での表示も念入りにチェックしました。

なお、この公式サイトのリニューアル資金として、小規模事業者持続化補助金を使いました。やはり、「使えるものはすべて利用すべき」です。

これで、商品を購入してもらうための入り口が完成しました。

事前準備② 購入を後押しする導線設計

ホームページをリニューアルしてECサイトのデザインが確立したら、次は購入導線の設計です。サイトを訪れたお客様に対して「これを買おう!」という、価格的にちょうどいい〝入口商品〞を置いておくことが有効だと考えました。

その頃の「鯱もなか」は、まだほとんどの方が知らない存在でしたが、看板商品なので何を置いても「鯱もなか」を買ってほしい。

とはいえ、つぶあんが苦手、あんこが苦手という方がいらっしゃることも事実です。

じつは、「鯱もなかのあんこなら食べられる」という声をたくさんいただいています。

それにはまず、一度食べていただかないと始まりません。

そこで、「鯱もなか」と焼き菓子など洋テイストの商品を詰め合わせたお試しセットを作ることにしました。その名も「鯱セット」。鯱もなか2個・鯱フレンド(フィナンシェ)2個・鯱サブレー3個・金鯱フルーツケーキ1個を詰め合わせました。

名前を見ておわかりだと思いますが、すべて「鯱」にちなんだお菓子です。

元祖鯱もなか本店は、社名・屋号・商品名のほとんどに「鯱」を冠しているので、いわば店を象徴するようなセット。お求めやすいようなお試し価格(当時1200円)に設定、さらには送料無料にして、ECサイトのトップに大きく載せました。

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