「地下道を歩くだけ」のゲームが実写映画化の意外 人気インディーゲーム『8番出口』が実写でどうなる?
東洋経済オンライン / 2025年1月12日 7時50分
ゆえに、実況者は異変に気づきにくくなる。一方の視聴者は喋らず画面を見ているわけで異変に気づきやすい。実況者だけが気づいていない状況はついコメントをしたくなるものである。これはオフラインでも同様で、誰かと一緒に遊ぶと異変に気づく・気づかないで盛り上がるわけだ。
おもしろい映画にできるのか?
『8番出口』がゲームとして優れているのはいいのだが、気になるのは2025年公開予定の映画である。確かに短編ゲームが映像化する例は『青鬼』などがあったものの、今回はかなり挑戦的なことに間違いない。
そもそも『8番出口』は本当に地下通路しか出てこないのである。登場人物はせいぜい主人公(ゲームではビジュアルなし)と、いつも通りすぎるおじさん、そして異変で登場する数名だ。すでに公開されているティザー映像ではおじさんのビジュアルがイメージ通りだと話題になっているものの、これでほぼ息切れする。
物語もない。せいぜい地下通路から脱出する目的があるだけで、なぜそうなったかの理由も説明されないし、ループの理由もない。幸い、ゲームには続編の『8番のりば』があり、そちらは話が一応はつながっている。ゆえに映画版においてその流れを拾う可能性はあるだろう。
しかし、映画が仮に90分だとしてもこれで尺が埋まるとは思えない。なんらかのオリジナル要素を入れる可能性も十分にあるが、そうなると今度は『8番出口』を題材にした映画監督の独自作品になってしまうリスクもはらむ。ジャンルがホラーであることを考えると、この作品においてなんらかのアイドルが映画初出演のチャンスを手にする可能性すらも想像してしまう。
公式サイトでは「悪夢のような映画館の鑑賞体験をお届けします」と書かれている。その悪夢が良い出来でも悪い出来でも、2025年を盛り上げる作品にはなりそうだ。
渡邉 卓也:ゲームライター
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