「3人に1人が高齢者」の日本で診療所が消失の危機 潰れる病院・診療所2023年は"過去最多"を更新
東洋経済オンライン / 2025年1月13日 15時0分
データを基に推計すると、全国の認知症患者は2025年に約472万人、2040年に約584万人、2060年に約645万人に増えます。MCI患者は、2025年で約564万人、2040年に約613万人と推計されました。
右肩上がりに増えるMCI患者
ただし、認知症患者は厚生労働省による以前のデータでは「2040年に802万人に達する」とされていたので、約200万人減った計算です。調査を担当した二宮教授は、「成人の喫煙率減少や血圧のコントロールなど健康的な生活を意識したことで、認知機能低下の進行が抑えられたのではないか」と分析しています。
このニュースには、認知症を予防できる可能性が示唆されたことで希望もありますが、患者さんの数が右肩上がりに増えていく現実は避けられないでしょう。
MCIは、生活習慣の改善や周りのサポートなどによって、30%くらいが正常に戻る可能性のあることがわかっています。
2023年12月に販売が始まったアルツハイマー病の進行を抑える画期的な治療薬「レカネマブ」の対象になるのも、MCIや軽度認知症です。
認知症患者さんが地域で安心して過ごせるためにも、自治体や介護に関わる人たちと連携して、患者さんを早期に見つけて治療につなげることも、私たちの大事な使命です。
そうした患者さんがいつでも気軽に受診できるクリニックが、地域に必要なのです。
私のクリニックには、認知機能が低下していると思われる高齢者が、1人でタクシーやバスに乗って来てくれることもよくあります。知り合いの医師から「(認知機能が低下していると)診察料がちゃんと払えない場合もあるのでは?」と心配されることがありますが、いまだにそのようなことはありません。
その人のペースに合わせて、ゆっくりお金をお財布から出してもらうのを待ちます。
必要に応じて、スタッフがサポートします。難しい場合でも、ご家族に連絡をとれば、たいてい解決します。これも家族全員が当院をかかりつけ医にしてくれているおかげかもしれません。
介護申請をしていない患者さんであれば、ご家族に連絡したり、連携している地域包括ケアセンターに介護手続きを提案したりすることもあります。要介護になってもクリニックに安心して通ってもらえるように、バリアフリーのクリニックでスタッフ一同、温かく迎えます。
この取り組みだけで、多くの患者さんが笑顔になってくれるのです。
1人暮らしの高齢者が急増する
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