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「3人に1人が高齢者」の日本で診療所が消失の危機 潰れる病院・診療所2023年は"過去最多"を更新

東洋経済オンライン / 2025年1月13日 15時0分

もう1つ、2024年4月12日に、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所から衝撃的な数値が発表されました。

「日本の世帯数の将来推計」というドキュメントで、これによれば、2050年には全5261万世帯の44.3%に当たる2330万世帯が1人暮らしとなり、そのうち65歳以上の高齢者が半数近くを占めることが示されたのです。しかも、1人暮らしの男性高齢者のうち、未婚者は2020年の33.7%から59.7%へ大幅に増え、女性は11.9%から30.2%に増えます。

これは現在の40〜50代という未婚率の高い世代が高齢期に入ることを示しています。

高齢者が急増するということは、怪我や不調などで医療機関にかかる人が増えるということです。1人暮らしの高齢者であれば、家族の支えなく1人で医療機関に行かなければなりません。

足腰が丈夫なうちはいいのですが、足腰が弱れば複数の病院やクリニックをバスやタクシーで行き来することになります。救急車を呼ぶ人も、今よりもっと増えるでしょう。

帝国データバンクが発表した「医療機関の『休廃業・解散』動向調査(2023年度)」によれば、2023年度の医療機関の休廃業・解散件数は、前年度比37.1%増となる709件となりました。

これまでの調査で最多だった2019年度(561件)を148件も上回り、過去最多を更新しました。

業態別に見ると、「病院」が19件(構成比2.7%)、「診療所」が580件(同81.8%)、「歯科医院」が110件(同15.5%)で、「診療所」と「歯科医院」が過去最多を更新しています。

後継者がいない診療所

日本医師会の「医業承継実態調査」(2020年1月)についても触れています。

診療所の後継者は、「後継者候補がおり、承継について意思確認済みである」が21.6%であるのに対し、「現段階で後継者候補は存在しない」が50.8%、「後継者候補はいるが、意思確認していない」が27.7%を占め、過半数の施設において後継者候補が存在しない状況となっています。

さらに、帝国データバンクの企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)から、2024年に40〜80歳になる「診療所」経営者の数をカウントしたところ、ボリュームゾーンは65〜77歳頃となっていて、高齢化が顕著でした。

同調査は「こうした実態を踏まえると、今後、一定期間を経て、代表の高齢化と後継者不在を理由に、事業継続を断念する診療所施設は現在よりもさらに増える可能性が高い。日本国内は高齢化がさらに深刻化していくが、その一方で『診療所』は相次いで姿を消していくことになるだろう」としています。

2040年には、要介護者が988万人に達し、85歳以上の人が1000万人を超えると推計されています。

「家の近くにいて、いつでも診る、なんでも診るかかりつけ医」を必要としている高齢者があふれ返ります。この状況にどう対応すればいいか、心ある医師の皆さんと考えたいのです。

菊池 大和:きくち総合診療クリニック

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