身ぶりと声が「何を言うか」より遥かに大事な根拠 本音を語らない人の本音を知る確かな手がかり
東洋経済オンライン / 2025年1月13日 11時0分
私たちの脳は、生物進化の歴史を映し出す3層構造をしています。最も基礎となる部分は生存本能を司り、爬虫類と同じような機能を持つことから「ワニ脳」と呼ばれます。その上には感情を扱う「サル脳」、さらには人類特有の論理的思考を可能にする「ヒト脳」が重なっています。
この3層構造は、日々のコミュニケーションに大きな影響を与えています。特筆すべきは、会話における「言葉」の影響力の小ささ。ワニ脳を活性化させずに、トゲなく人を動かす他者と生きる術に迫った『あいては人か 話が通じないときワニかもしれません』より一部抜粋、再構成してお届けします。
子どもは言うことは聞かないが「真似」はする
ボディランゲージは、言葉よりもはるかに大切だ。
「子どもは、大人の言うことは聞かないが、大人の真似はする」という諺のとおりで、ボディランゲージや動作は言葉をしのぐほどの影響力がある。
たとえば誰かと会っているとき、その人のボディランゲージと言葉がまったく別のシグナルを発していたら、私たちはボディランゲージのほうを重視する。こんなとき、言葉はまったく当てにならないことが多い。
あなたが、飼い犬にとてもやさしい声で言ったとしよう。「まあ、なんてみっともないイヌなの」。それでも、イヌはうれしそうに尻尾しっぽを振るだろう。イヌには声の調子しか伝わらないからだ。
人間の場合、イヌほどはっきり態度には出さないけれど、さほどの違いはない。イヌの専門家が、こんなことを教えてくれた。「飼い主として、あなたが持っている最大の武器は声のトーンですよ」
これは人間に対してもいえることだ。声をどう使うかが、人づきあいの強力な武器になる。
楽曲のニュアンスが出だしのフレーズで決まるように、あなたの話を相手がどう受け取るかも、あなたが発する声次第だ。よいコミュニケーションの基本は、適切なトーンで話し出すことだ。
アメリカのコミュニケーションの研究者アルバート・メラビアンと研究チームは、話す人の表情と声の重要性について調べる実験を行った。その結果、被験者が自分の気持ちを伝えた場合、言葉は7%しか相手の解釈に影響を与えないことがわかった。
・言葉(7%)
・語気やトーン(38%)
・顔の表情(55%)
言葉の影響力が、非言語に比べてこんなにも低いことに驚いたのではないだろうか。
たとえば、会話の相手が皮肉っぽい口調でため息をつきながら「ああ、楽しかった」と言ったら、私たちはその言葉をまったく信じないだろう。つまり、言葉の影響力は0%だ。
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