フリーアナと駅弁経営の二刀流「異色の社長」の素顔 プロバスケのレポーターを兼業、会場で弁当販売も
東洋経済オンライン / 2025年1月13日 9時5分
1日12万人が来場し、のべ40万個の駅弁が売れる国内最大級の駅弁大会、「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」。そこで「1日6000個」売れるのが、北海道・森駅の「いかめし」だ。
今年で創業123年となる「いかめし阿部商店」は3代目社長の今井麻椰(いまい・まや)さんが現在は切り盛りしている。
今井麻椰さんはフリーアナウンサーとしても活躍しており、バスケットボール・Bリーグのレポーターを社長業と並行して務めるなど、異色の3代目と言える。
今回は、今井麻椰さんにお話を聞きながら、“二刀流”の仕事術を紹介する。
前編:『駅弁の甲子園で「1日6000個」売れる弁当の中身』
社長交代はコロナ禍のさなか
社長交代が行われる以前、原材料であるスルメイカの不漁による高騰や、長らく実演販売に携わったスタッフの高齢化などもあり、前任(2代目)の今井俊治社長は会社を手放すことも考えていたという。
一方で今井麻椰さんはカナダ留学ののちにBSフジで「女子大生キャスター」を務めるなど、フリーアナウンサーとして活動しており、子供の頃から手伝ってきた会社の危機に「それなら私がやります!」と志願。父親である今井俊治社長を説得して、社長業を引き受けたという。
ただ、社長を引き継いだ2020年5月は、言うまでもなくコロナ禍の真っただ中。各地の駅弁業者は例外なく売り上げが激減、「いかめし阿部商店」でも各地の実演販売イベントがことごとく中止となってしまった。
しかし社長交代の話はコロナ禍の前から決定済みで、「もう決まっていることだったので、やるしかない」と、腹をくくって経営者としての世界に飛び込んだ。
写真6枚:「いかめし」の故郷、北海道の森駅はこんな感じ
今井麻椰社長に交代してからは、「いかめしおかき」「いかめしカレー」「阿部商店監修いかめしおむすび」(セブンイレブンで限定発売)など、これまでなかった商品を発売。また、実演販売にこだわった父親を説得しての「レトルト版いかめし」で販路を広げ、何とか会社のピンチを乗り切った。コロナ禍が終息を迎えた現在、「いかめし」百貨店での実演販売はこの1年(2024年2月~2025年1月)で約70カ所にも及び、販売網は元に戻りつつある。
フリーアナ業も継続中
今井麻椰社長はフリーアナウンサーとして、バスケットボール・Bリーグのレポーターも社長業と並行して継続。さらにBリーグ会場で「いかめし」実演販売をしている時もあるという。バスケファンの方々にとっては、今井社長は「『バスケットLIVE』(動画配信サービス)でよく見る人」「会場で特製Tシャツを着て『いかめし』を売っている人」と言ったほうがわかりやすいかもしれない。
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