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29歳のライフ&アートが詰まった「6畳の秘密基地」 小さな部屋から始まる「冒険」は"境界"を超えて

東洋経済オンライン / 2025年1月14日 7時50分

「ひとり暮らしを始めるための資金はだいたい100万円ぐらい。それで理想の空間を作ったんです。私自身はデザインやコンセプトを考えられますが、設計や施工は一人では無理なので、建設関係の仕事をしている父に手伝ってもらいました。

プロジェクターとスクリーンの備え付け、磁石機能のあるスチール壁面、そしてモニターとキーボードを配置したデスク。そういったすべてのものが、父との共同作業から生まれました。図面を引いて話し合う時間は、まるでプロジェクトチームのようで楽しかったですね」

生活者として・表現者として

ChaNkRoさんはアーティストであり、社会人でもある。普段はアートエージェンシーでデザイナーとして働いているのだ。その境界線はどのように引いているのだろうか。

「アーティストとして得た視点が、デザイナーの仕事に役立つ部分もありますし、その逆もあります。だからそこに大きな矛盾はないのですが、時間的なやりくりは必須ですね」

彼女の一日を覗いてみると、なかなかハードだ。

日中はデザイナーとして会社の仕事をこなし、勤務時間後は習慣にしているランニングを5㎞。体調管理と節約のための自炊。食後にようやくアーティストとしての活動が始まり、深夜までプロジェクトに取り組む。

そうしたストイックな日常の積み重ねによって、彼女は生活とアートの境界を行き来している。

「やりたいことが多すぎて、睡眠時間を削ってしまうことも多いんですけれど。生活人としての自分とアーティストとしての自分の割合は、6:4ぐらいです」と、ChaNkRoさんは笑った。

ジェンダーの境界線を行き来する

そんなChaNkRoさんは29歳の今、アーティストとして越えようとしている「もうひとつの境界線」がある。それが男女の性役割(ジェンダー)の境界線だ。

「アートの世界では性別に関係なく勝負したいのが本音です。ただ、ストリートアートの現場は圧倒的に男性アーティストが多いんです。

特にグラフィティのように、一夜でゲリラ的に壁にペイントするスタイルでは、肉体的な瞬発力やグレーゾーンに踏み込むタフさが求められる。そういったワイルドなカルチャーが、この業界のルーツにはあります。

私自身はそうしたダイナミズムに憧れつつも、ゲリラ的な活動はできない。でも、自分のフィールドで、覚悟を持ってアートを追求しているので、それを認めてもらいたいという情熱を持っています」

ChaNkRoさんは、自らがつくる作品を通じて、リスペクトを勝ち取ることができると信じている。

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