29歳のライフ&アートが詰まった「6畳の秘密基地」 小さな部屋から始まる「冒険」は"境界"を超えて
東洋経済オンライン / 2025年1月14日 7時50分
「今もアートの現場で性別に基づく偏見を感じることは少なからずあります。でも、そんなときに私のアートを見て、ジェンダーとの良い意味でのギャップを感じてくれる方がいると心強いし、励みになりますね」
ジェンダー平等が叫ばれる時代でも、仕事そのものより先に「女性であること」が注目される。そういった能力や実績よりも、性別で役割や立場が決まってしまうジレンマは今も根深く残っている。
特にアーティストのように自分のキャラクターが色濃く仕事に反映する職種は、そこに性差という特性もついてまわる。ChaNkRoさんは、こうした状況を避けるため、戦略的にジェンダーイメージをコントロールしているという。
「私はアーティストとしては、基本的に顔出しをしていません。それによって、性別に縛られずに作品そのものを評価してもらえると思うんです。ただし、個展にいらっしゃった方には顔を見せています。女性であることを隠したいわけではなく、女性としての自分を見せるタイミングや場面を、自分で決めているんです」
ジェンダーの境界線は今も存在するが、それをどのようにコントロールし、生かしていくか。ChaNkRoさんの姿勢には、若い世代ならではの感性でこの問題に向き合う、しなやかさを感じる。
「好き」を武器に、限界を超えて
本名で暮らす生活者・仕事人であるデザイナーとしての自分から、アーティスト・ChaNkRoとしての自分に「もしメッセージを伝えるなら?」と問うと、彼女は次のように言った。
「アーティストのChaNkRoには、思いついたことを、全部やってほしいです。『時間は限られているかもしれないけれど、”好き”という気持ちを武器に、やれるところまでやって、行けるところまで行ってね』と、声をかけたいです」
ChaNkRoさんが「多機能シェルター」と呼ぶ小さな部屋は、彼女のすべての活動を包み込み、育む場所だ。この空間から広がるクリエイティビティと好奇心が、彼女をどこまで連れて行くのか。その行く先を見守りたい。
玩具箱のように"好き"が詰まった部屋
【写真】ChaNkRoさんのひとり暮らしを写真で振り返る(18枚)
蜂谷 智子:ライター・編集者 編集プロダクションAsuamu主宰
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