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「新リース会計」対応で失敗しない準備マニュアル 4つのフェーズで考える対策のロードマップ

東洋経済オンライン / 2025年1月14日 7時30分

(写真:タカス / PIXTA)

2027年4月に予定されている、リースに関する新会計基準の強制適用。2年余りの先の話だが、全社規模での対応が必要で、残された時間は長くない。『週刊東洋経済』1月18日号の第1特集「新リース会計の衝撃」では、新基準の基本的な部分から実際の業務で使えるテクニック、業界別の影響度まで、新リース会計が及ぼすインパクトについて解説する。

「とりあえずは様子見。2年もあれば大丈夫でしょう」。ある流通業界の経理担当者はこのように語る。

【図解】強制適用までにやるべきロードマップ

新リース会計基準の強制適用まで2年余り。この経理担当者同様、「時間はある」と悠長な企業も少なくない。しかし、今回の新リース会計では実質的なリースも計上しなければならない。そのため、あらゆる契約を洗い出す必要があり、残された時間は少ない。

やるべき作業は膨大

ここでは強制適用までにやるべき作業について、フローチャートにまとめてみた。

「フェーズ1」はリースに関係しそうな契約の洗い出しからで、全社に散らばった契約書を収集、リースに該当するかを判断していく。ただいかんせん定義がわかりにくいため、関係部署を対象に勉強会を開いたうえで対応してもらうのがよい。

契約の洗い出しがある程度済んだら、概算でいいので影響額をいったん算定する。そうすることで、準備に当たる人数や、スケジュールなどを見通せるからだ。可能ならば、こうした作業は2024年度中に終えたい。

「フェーズ2」では、会計処理や開示方法に関する方針を決定する。リース期間をはじめとする処理方針を事前に決めて計算しなければ、作業のやり直しが発生してしまうからだ。

併せて、後々現場が苦労しないよう、リースの判断マニュアルなどを作っておくのもいい。また、システム対応が必要であればIT部門と話し合っておくタイミングでもある。

そして「フェーズ3」では、会計処理のマニュアルを整備するとともに、システム設計やデータ作成なども進めて本番に備える。

シミュレーションは必須

これだけの作業を進めなければならないため、シミュレーションは必須。さらに、経営陣は全社的なプロジェクトとして対応すべきだ。たいへんな作業だが、すべての契約を見直すことで社内の課題も明らかにできる。会社版の“人間ドック”と考えて対応してみてはいかがだろうか。

田島 靖久:東洋経済 記者

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