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メタの"ファクトチェック廃止"がもたらす変化 誤情報拡散と表現の自由、ネット社会はどこへ向かう?

東洋経済オンライン / 2025年1月14日 8時20分

メタは「EU加盟国での廃止は現時点では計画がない」と発表している。英国やEUでは大手テック企業に対するコンテンツ管理の責任・義務を強化する動きが進んでおり、メタがアメリカで進めるような“緩和策”とは逆行している。

仮に今回の発表と同様の動きを欧州で進めれば、メタは厳しい罰則を課される可能性が高いだろう。英国ではオンライン安全法(Online Safety Bill)が成立し、プラットフォームが有害コンテンツを排除しない場合には巨額の罰金が科される。

では日本ではどうなるのか? 現時点で、政府の明確な方針は聞こえてこないが、アメリカの大統領が交代し日米首脳会談を控えるタイミングだけに、明確な意思を示す必要がある。

2024年5月、日本では誹謗中傷などの権利侵害にあたる投稿の削除申請を迅速化・透明化する「情報流通プラットフォーム対処法」が成立し、SNSでの情報発信に対して一定の規制強化が進んだ。

しかし偽情報や誤情報については明示的な規制がなく不十分だ。誹謗中傷以外の有害情報への対処を法的にどう整備すべきなのか議論を進めるときと言える。

日本独自の“仕組み”構築を

信頼できる情報コミュニティを作り上げるのは、ユーザーコミュニティ、ファクトチェック団体、プラットフォーム運営企業、政府機関などが協力し合う総合的な取り組みが欠かせない。

ファクトチェックだけで問題が解決するわけではなく、コミュニティノートのような“機能”だけで問題が取り除かれるわけでもない。単独のテクノロジーや単独の企業の努力、あるいは第三者団体の活動のみで解決できる問題でもない。

メタの方針転換がどのような結果をもたらすのか結論は出ていないが、変化の速度が速いサイバー空間にあって、私たちは今こそ「ソーシャルメディアの公共性」と「民主主義への責任」を問い直す好機に差しかかっているのではないだろうか。

SNSプラットフォームを運営する企業の方針に左右されるのではなく、明確な意思を持って“検閲と自由のはざま”で揺れ動くネット社会の未来を形作る仕組み、法的枠組みの構築を日本政府には期待したい。

本田 雅一:ITジャーナリスト

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