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「金利ある世界」で一つの「財政の神話」が終わった 国債の利払い費が増加に転じ、政策的経費を圧迫

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時0分

通常国会は1月24日に召集される予定(写真:genki / PIXTA)

2025年が始まり、通常国会が召集されると2025年度予算政府案の審議が始まる。

第2次石破茂内閣は少数与党であり、予算案の審議は様変わりするかもしれない。場合によっては、予算案の修正を野党から迫られ、受け入れなければならないかもしれない。

ただ、日本国憲法の規定により、予算提案権は内閣にしかない。野党は修正案を出すことしかできない。過去に、予算案の修正が行われたことがあるが、その修正は、予算総額の枠内でのものであり、枠を越えての修正は通常行われない。過去には少数与党内閣はあったが、兆円単位の減収を伴う予算修正は前例がない。

決算でもすでに利払い費は増加に転じている

第2次石破内閣は、2024年12月27日に2025年度予算政府案を閣議決定した。本稿執筆時点では、閣議決定したこの予算案を国会に提出するとみられる。

2025年度予算案の一般会計総額は115兆5415億円と、過去最高となった。2024年度当初予算にはあった原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費1兆円を削ったにもかかわらずである。

主要経費も当初予算ベースで軒並み過去最高を更新した。社会保障関係費は高齢化を受けて38兆2778億円と過去最高、防衛関係費は2024年度と比べて7519億円増えて過去最高の8兆6691億円と、2024年度一般歳出(政策的経費)のナンバー2の費目におどり出てさらに伸ばした。

地方交付税交付金は、その財源となる税収が増えたことを受けて18兆8848億円と、2010年度の17兆0945億円を超えて過去最高を更新した。国債の元利返済に充てる国債費も過去最高の28兆2179億円である。

国債費が過去最高となるのは、国債残高が増えて返済するための費用がかさむことと、金利が上がり始めており利払い費が増えることが背景にある。

予算では、想定金利を高めにして利払い費を多めに計上しているとの指摘もある。しかし、いまや国の一般会計の利払い費は反転増加に転じている。

決算ベースで2015年度の8.3兆円をピークにその後は減り続けていた。2022年度に7.1兆円まで減ったが、2023年度には7.4兆円と増えた。これは決算ベースの金額だから、利払い費を多めに見積もるという話とは違う。

金利が低いから利払い費は減り続けるという「神話」は終わったのである。

しかも、この利払い費の金額は、前述した2025年度予算案の防衛関係費に迫る多さで、文教及び科学振興費の5兆5496億円、公共事業関係費の6兆0858億円よりも多いのである。金利が低いから借金しても大したことはない、とはとてもいえない。

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