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ジャフコ「セクハラ問題」に政投銀は曖昧な姿勢 政府系金融機関が問われる「ビジネスと人権」意識

東洋経済オンライン / 2025年1月16日 7時40分

「人権尊重はすべての事業活動の前提である」と自社の統合報告書に明記する日本政策投資銀行。ジャフコで起きたセクハラ事件をどう認識しているのだろうか(写真上:Bloomberg、写真下:記者撮影)

老舗ベンチャーキャピタルのジャフコ グループ社内で起きたセクハラ事件。2019年、契約社員だった女性が幹部社員など男性2人からマフラーで首を絞められ体を触られるなどの性被害に遭った。この事件をめぐってはジャフコと取引関係にある企業の姿勢も問われている。

【表を見る】7社中4社は姿勢を鮮明にした――ジャフコでのセクハラ事件を受けた関係各社の対応

被害女性の代理人である指宿昭一弁護士らが、ジャフコ運営のファンドに出資する企業7社に対して、「ジャフコがセクハラ問題に適切に対応するよう働きかけてほしい」という内容の申し入れを行った。申し入れは「ビジネスと人権」の考えに基づくものだ。

その7社とはアズビル、インテック、中国電力、中電工、日本政策投資銀行(DBJ)、北海道電力、森六ホールディングス。各社はジャフコが2022年に立ち上げたファンドに出資している。

申し入れた7社のうち4社は対応

ジャフコは男性2人が女性に行った行為をセクハラと認定、2人を懲戒処分とした。だが、全社員が集まる場で加害男性に謝罪させたことで、被害を受けたのは女性であることが社内に知れ渡った。さらにその後、女性は退職か報酬減額を受け入れるかを迫られ、最終的に雇い止めになった。

指宿弁護士は、それらが「セカンドセクハラ」(セクハラを申告したことで受ける二次被害)であると指摘。女性に補償するようジャフコに求めている。一方、ジャフコ側はセクハラ事件との因果関係はないとして双方の主張は平行線をたどっている。

指宿弁護士らが7社に行った申し入れは、女性の救済措置を図ることや再発防止のための環境整備を出資者の立場からジャフコに要請するよう求める内容だった。7社のうち4社からは、ジャフコに適切な対応をとるよう要請したとの回答があった。

一方、北海道電力や森六ホールディングス、DBJからは回答を差し控える旨の回答があった。この中でも際立つのがDBJの姿勢だ。

DBJは政府が100%出資する政府系金融機関。国からの一部出資を活用して成長資金を供給する特定投資業務を行っている。ジャフコが運営するファンドへの出資もこの特定投資業務の一環だ。

高い公共性を有する事業活動には重い責任がある。そして、高い透明性が求められることは言うまでもない。しかも政府は、大企業から中小企業に至るまで「ビジネスと人権」に関わる施策を進めるよう推進してきた立場だ。

指宿弁護士も「(一般的に)政府系企業は出資額も大きく影響力も大きい」とし、「率先して問題解決に取り組み、どんな対応をしたのかを社会にしっかり公表していくべきだ」と語る。

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