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ジャフコ「セクハラ問題」に政投銀は曖昧な姿勢 政府系金融機関が問われる「ビジネスと人権」意識

東洋経済オンライン / 2025年1月16日 7時40分

しかし、申し入れに対するDBJの回答は、「個別取引に関わる事項となるので、回答を差し控えさせていただく」(法務・コンプライアンス部)というものだった。

同じ「政府系」でもJICは姿勢鮮明

他方、DBJ同様に「政府系」とも称される投資会社の産業革新投資機構(JIC)は、ハラスメント問題への姿勢を明確にしている。

昨年12月、JICは出資要件の見直しについて発表。出資するファンドに対してハラスメント防止規定などの制定を求めるとした。背景にあるのは、ベンチャーキャピタルファンドなど投資家による女性起業家へのセクハラ問題だ。

JICの久村俊幸CIO(最高投資責任者)は、出資先でハラスメントが起きた際、すぐに駄目だと判断するのではなく、「起きた際にどのように対応するか」「改善の見込みがあるかどうか」を重視するという。実際、「改善の見込みがないと判断したケースでは出資を見送った」と説明する。

東洋経済はDBJに対して、「出資先の企業で深刻なハラスメントが発生した場合、人権問題として対応するべきか」「JICの出資要件のようにハラスメント対策を促す取り組みがあるか」などを質問した。しかしDBJの返答は、「個別の取引に関わる事項となるので、回答を差し控えさせていただく」というものだった。

「人権尊重はすべての事業活動の前提である」などと自社の統合報告書に明記するDBJが、ハラスメント問題にどう対応するのかは判然としない。大きな影響力を行使できるはずのDBJの沈黙ぶりは、「ビジネスと人権」が目指す企業の人権尊重のあり方とすれ違うように見える。

「ビジネスと人権」に詳しい蔵元左近弁護士は、「金融機関に重い守秘義務があるのは事実だが、『ビジネスと人権』が要請する説明責任をどう果たすのかという観点から情報開示のあり方を検討することが重要だ」と指摘する。

ジャフコ社内で起きたセクハラ事件が深刻なのは、加害者だけの問題ではなく、会社としてのハラスメント対応自体が適切だったのかが問われている点だ。

指宿弁護士によると、女性は事件後もジャフコで働き続けることを希望しており、セクハラ事件について「話すこと自体やめてほしい」と会社に伝えていた。しかし先述したように、月例ミーティングの場で加害男性に謝罪させた。これはジャフコ現社長の三好啓介氏の指示だった。

被害者が誰なのかそれとなく伝わったことで、女性は精神をすり減らす日々を送った。ジャフコは「公開謝罪」は女性の了承を得たうえで行ったもので、「再発防止のために適切な対応だった」としている。

「まずは責任を認めて対応すべき」と女性側

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