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地理で考える「日本の都市」に城壁が存在しない謎 世界のほかの都市では作られているものの…

東洋経済オンライン / 2025年1月16日 18時0分

もう1つ考えられることとして、城壁が地震で壊れてしまう説です。今も昔も変わらず、日本は地震が多く、高い建物を作っても壊れてしまう危険性があります。せっかく高い壁を作っても、地震で壊れてしまったら危ないですし、意味がないですよね。

海外では地震が少ないのであまり考慮しなくていいわけですが、日本では死活問題です。だからこそ城壁が少なかったのではないかと考えられます。

城壁よりも堀が作られることが多い

さて、都市だけでなく城にも注目してみましょう。日本の城の特徴として、城壁よりも堀が作られる場合が多いことが挙げられます。

堀は、地面を掘って作られた水路のことであり、そこに水を流すことができれば外敵の侵入を防ぐことができます。

先ほど「土塁」という堤防の話もしましたが、これは基本的に、この堀を掘ったときに出てきた土を利用し、堤防状に作られたものです。つまり土塁も、ほとんどの場合、堀ありきで作られているわけですね。

堀は日本の風土と合っているものでした。壁とは異なり、地震で倒れるなどの心配もほとんどありません。また、日本は雨が多く、堀の中に水を入れることが容易だったため、城壁よりも堀のほうを防御策として建設する場合が多かったと言われています。

日本人の感覚からすると意外に感じる人も多いと思いますが、実は世界的に見ると堀がある城は珍しいです。それは、ほかの地域では日本ほど水の確保が容易ではなかったからと考えられます。

堀で特に有名なのは、姫路城ですね。美しい白い外観と複雑な防御構造で知られています。城の周囲に幅広く深い堀が巡らされているうえに、「外堀」「内堀」など堀が幾重にも重なっているのです。こうすることによって、攻め込まれても守りやすい堅固な防御ができていたと言われています。

埋め立ててしまえば防御力失う

しかしこの堀、「埋め立ててしまえば防御力を失う」という側面もあります。「堀の埋め立て」が行われたことで有名なのは大阪城です。「大坂冬の陣」の後、徳川家康は豊臣氏の居城である大阪城の堀を埋めたと言われています。これによって、豊臣側の防御を完全に失わせた、というわけですね。

まとめると、日本に「城壁」が少ないのは、日本の国土・風土とあまり合っていないからです。山が多く、地震も発生し、多雨な日本では、「堀」のほうが防御として適していたわけですね。

日本史と地理を同時に学んでいくと、このように新しい発見をすることができます。みなさんにも、ぜひこの2つの科目を通して、学びを深めていっていただければと思います。

宇野 仙:駿台予備校地理科講師

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