JAL「パイロット飲酒問題」、現場の警告は届かず 客室乗務員や整備士は不安の声を上げていた
東洋経済オンライン / 2025年1月16日 8時0分
客室乗務員は、機長が腹痛を理由に遅れて出勤してきたこと、副機長が嘔吐したことなどに不安を覚え、空港所長に体調についての確認を求めた。このことは東京のオペレーションセンターに伝えられた。
オペレーションセンターは、産業医が機長の空港到着後に実施した面談で乗務可能と判断したこと、副機長のアルコール自主検査での数値がゼロになったことを踏まえて運航する方針を決定。その旨を客室乗務員に伝えた。
さらに機長が客室乗務員に対し、「副機長はアルコール検査で数値が検知されたが、最終的にゼロになったことを確認し、体調全般も確認したことから運航可能との説明を行った」(広報部)という。
客室乗務員らの進言は称賛すべき
しかし、そもそも過剰飲酒の隠蔽を副機長に持ちかけたのは機長だった。その機長が「体調全般を確認したので出発に支障がない」などと説明すること自体、「盗人たけだけしい」と言われても仕方ない。
国際線のチーフパーサーなどを務めた航空評論家の秀島一生氏は、「客室乗務員は保安要員であり、安全上の懸念があれば欠航を進言するべきだ。ただ、実際に機長に物申すのは非常に勇気のいること。意識を高く持った客室乗務員らの行動は称賛に値する」と話す。
東洋経済は「進言を全否定された客室乗務員3人がメンタル症状を発症した」とする証言も得たが、JALは否定する。一方、「整備士は自ら整備責任者として機体の最終確認を行った当該便にこのような大きな問題があったことにショックを受けており、現在業務を外れている」(広報部)という。
JALは2018年、2019年と立て続けに飲酒問題で事業改善命令を受けるという前代未聞の事態となっていた。2024年5月にも機長が過度の飲酒でトラブルを起こすなどし厳重注意を受けた。JALはそのたびに再発防止を誓ってきた。なぜ、飲酒問題は繰り返されるのか。
今回の件で国交省は、副機長の自主検査では当初、検知器を変えても、うがいをしても、アルコールは検知されていたと事実認定している(検査数値は非開示)。
だが、自主検査に立ち会った空港職員が状況を東京のオペレーションセンターに伝えたところ、最終的に自主検査でのアルコール検知は「誤検知」と判断されてしまった。
「誤検知」と軽々に判断?
「オペレーションセンターおよび乗員サポート部は、現地からアルコール検査で数値が確認されたとの連絡を受けた時点で、誤検知の可能性があるのではないかと考えていた」とJALは説明する。その後、運航サポート部は最終的にアルコール値がゼロになったことをもって「誤検知」と判断したという。
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