戦後の日大を支えた異形の組織「日本会」の正体 日本の権力中枢が集ったそうそうたる顔ぶれ
東洋経済オンライン / 2025年1月17日 10時0分
日本会が定めた総調和という思想は、日本大学建学の精神に通じると訴えている。世界平和を唱え、現在は93年に制度化された外国人技能実習生の受け入れをおこなっているが、設立当初は社会運動体の色が濃かった。わけても日大全共闘の新左翼学生たちは、日本会を大学執行部の後ろ盾である保守右翼組織ととらえ、目の敵にしてきた。それゆえ、「右翼暴力団」と過激な表現をしているのであろう。暴力団とは言い過ぎであろうが、たしかに日本会には裏社会に通じる部分もあったようだ。少なくとも「右翼組織」は的外れともいえない。
世話人たちのそうそうたる顔ぶれ
『叛逆のバリケード』に記されているとおり、日本会はその世話人が組織の性格を表している。日大会頭の古田重二良(じゅうじろう)が各界に呼びかけ、結成された。くだんの〈日本会世話人名簿(抜粋)〉には、錚々たる顔触れが並ぶ。いずれも戦後日本の政財界の歴史に名を刻んだ著名人ばかりだ。
総裁は佐藤栄作、戦後、日大を率いてマンモス大学に育て、中興の祖と呼ばれた古田が会長に就いている。その世話人名簿にあるメンバーを列挙するだけで、壮観という以外にない。名簿の順に姓名を挙げると、以下のような具合だ。
赤羽善治、東龍太郎、西尾末広、愛知揆一、町村金五、塚田十一郎、大平正芳、市村清、足立正、御木徳近、柴田徳次郎、松下幸之助、堀田庄三、江﨑真澄、村上元三、小佐野賢治、錢高輝之、小田原大造、中原実、藤山愛一郎、曽弥益、石田博英、西村直己、迫水久常、三木武夫、奥村綱雄、徳川夢声、庭野日敬、堤清二、井植歳男、保利茂、椎名悦三郎、安藤楢六、永野重雄、鈴木亨市、賀屋興宣、岸信介、灘尾弘吉、田中角栄、福田赳夫、安井謙、植村甲午郎、和田完二、原文兵衛、藤井丙午、日向方斉、石田退三、中曽根康弘、山岡荘八、大川博、五島昇。
国会議員や自治体の首長だけでなく、大手企業の経営者やメディア関係者、宗教家や文化人、裏社会に通じるフィクサーにいたるまで、あらゆる分野の著名人が日本会に参加してきた。
とても全員を説明する紙幅はないが、名簿順に少しだけ紹介すると、1人目の赤羽善治は60年代に九州電力の社長、会長を務めてきた財界人だ。福岡商工会議所会頭や福岡証券取引所理事長、日本経営者団体連盟常任理事を歴任してきた。
2人目の東龍太郎は厚生省(現厚生労働省)の元大物官僚である。医務局長から東京都知事に転身し、日本オリンピック委員会(JOC)委員長や国際オリンピック委員会(IOC)委員となり、1964年の東京五輪開催に漕ぎつけた立役者として知られる。
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