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物流危機、3月末に迫り来る「荷物を運べない現実」 「これ以上は残業できない、もう走れない」

東洋経済オンライン / 2025年1月17日 8時50分

トラック輸送は泊まり勤務も多かった。子育て世代が働くには厳しく、待遇の改善が求められていた(記者撮影)

「2023年まではなんとかトラックを確保できたが、最近は必ずしも確保できるわけではない。需給が変わってしまっている」――。そう話すのは、大手EC事業者の仕事も手がける物流企業の幹部だ。

【図で解説】「2024年問題」突入で実際に起きていること。物流業界は思わぬ方向へ?

以前は荷物の情報量を1とすると、運べるトラックの空車情報は1.3~1.4というバランスだったが、最近は1を下回ることも増えているという。空きトラックの情報が減り、運べない荷物がでてきているのだ。

協力会社に配送を委託できない場合、自社の車両でなんとか対応する、もしくは帰りの荷物がなくても往復分の運賃を払って委託する、などといったケースがあるという。

この幹部は「(実際に走る)運送会社の運賃の条件をどんどん上げなければならないが、荷主からは十分な額をもらえていない。運賃だけでなく効率も上げていかなくては」と苦しい状況を語る。

空きトラックの情報がどんどん減少

物流業界では2024年4月、ドライバーの残業について年間960時間までの上限規制が導入され、拘束時間などの制限も一段と強化された。より多くの人員が必要になり、コスト上昇が課題となっている。いわゆる「物流2024年問題」だ。

2024年問題はテレビなどで、主に宅配の現場の話が取り上げられてきたが、長距離ドライバーの労働環境の改善が本来の趣旨だ。足元では規制の影響が如実に表れている。

「車両の情報数が、月を追うごとに減っている」。こう話すのはトランコム・名古屋情報センターの兼田慎二センター長だ。

トランコムは全国1万3000のパートナー運送会社と連携し、荷物と空きトラックを人力でマッチングする「求貨求車」サービスを提供している。

残業規制を受けて、長距離の運行を担っていた運送会社は中・短距離へのシフトを進めている。トランコムの東海エリアでは、2024年の上期は全体でトラックの空車情報が約10%減少。中でも600キロ以上を走る長距離トラックの情報は約20%減ったという。

業界では、夏場、年末の12月、期末の3月が繁忙期に当たる。運送会社は繁忙期に備え、普段からドライバーの労働時間を調整する必要がある。そこで、仕事の見込み時間や納品時間、荷物を積まずに拠点へ戻る回送の距離などを細かく確認する会社が増えている。

トランコムも、これまでは運送会社に「13時から積み込みできます」などと伝えればよかったが、実際に作業が始まっているか、荷待ち(待機)が発生していないかなど、運送会社が詳細を確認するようになったという。

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