日本がアメリカを支配した世界を描く中国製ゲーム 日本文化の奇想天外なパロディが話題に
東洋経済オンライン / 2025年1月17日 14時0分
それでも『昭和米国物語』は異質なゲームである。日本文化に対する理解があるのはもちろんなのだが、より具体的に言うと80年代に対する解像度が妙に高いのだ。
本作のテーマ曲として採用されているのは、大事MANブラザーズバンドの『それが大事』である。ある程度の年齢であればこの曲を一度は聴いたことがあるだろうし、まさしく時代の象徴となる曲だ。なお、この曲はカバー版が香港、中国大陸でも流行していたそうだ。
紹介映像に出てくる小物もニクい。ファミリーコンピュータに似たゲーム機、バネでジャンプできるホッピング、古臭いデザインのブリキ看板、昭和の子供が遊んでいたらしい車輪を棒で転がす謎の遊びなど、どれもこれも懐かしさを感じさせる。
サンフランシスコでスケバンスタイルの女性がしゃがみこんでいたり、ラシュモア山国立記念公園(大統領の顔の彫刻がある場所)で侍が切腹していたり、大統領がアニメを鑑賞する時間を確保していたりと、日本がアメリカを統治しているがゆえのとんでもないギャップが笑いを誘うのも特徴だ。
ゲーム業界の変化も感じさせる一作
また、中国のゲーム会社がこういった「中規模の買い切りゲーム」を出すのも特徴といえよう。
中国のゲーム業界ではかつてコピー商品がはびこったこともあり、オンラインゲームのようなサービス提供型ゲームが伸びていった。しかしそれも徐々に変化しつつあり、2024年には『黒神話:悟空』といった買い切り型の大作が発売され、評価されるようになっている。
そして、侍や忍者ともまた違う独特な日本を描いた『昭和米国物語』も注目を集めているわけで、ゲーム業界の変化がこういった作品の登場によって明確になっているといえよう。
『昭和米国物語』は2025年第4四半期発売予定。日本のゲーム会社では描けないであろう「日本がアメリカを支配した世界」はどこまでヒットするだろうか。
渡邉 卓也:ゲームライター
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