東武8000型「通勤車のロングセラー」が放つ存在感 20年間に712両製造、豊富すぎるバリエーション
東洋経済オンライン / 2025年1月17日 6時30分
1963年度にまずデビューしたのは4両編成で、その後1964年度から増結用の2両編成が登場。1971年度には4両編成を6両に伸ばすための増結用中間車両の製造が始まり、翌1972年度には最初から6両固定で造られた編成が登場した。さらに、東上線には1977年度から8両編成が投入された。
カラーリングは当初「ロイヤルベージュ」と「インターナショナルオレンジ」の塗り分けだったが、1974年からセイジクリーム1色に変更。40代以上の人なら、肌色のようなクリーム色の電車を懐かしいと思う人も多いだろう。現在の「ジャスミンホワイト」と呼ぶ白をベースに「ロイヤルブルー」と「リフレッシュブルー」(水色)のラインを配した塗装は1985年以降に導入された。
一般利用者にとって大きな変化だったのは冷房の設置だろう。1972年度製造の車両から搭載が始まり、それ以前の車両も改造して1984年度までに取り付けた。
また、台車も1976年度以降の製造車はそれまでの「ミンデン台車」と形状の異なる「S型ミンデン台車」に変更している。そのほかにも小規模な設計変更や5社あるメーカーの違いによる差異など、細かな違いは無数にあるという。
【写真で見る】通常は絶対に見えないマニアックすぎる「違い」。製造時期の新しい車両は床が波型のステンレス板、古い車両は平らな鉄板だ
形式は、正式には4・6・8両編成が「8000型」、2両編成が「8500型」。このほかに8両編成を改造して3両編成にした「800型」と「850型」があり、鉄道ファンなどはまとめて「8000系」と呼ぶことが多いようだ。
修繕工事で変わった「顔」
1983年までに712両が製造され、名実ともに東武の顔となった8000型。その「顔」、つまり車両の前面デザインは一度大きく変化している。
初期に造られた車両がデビューから20年以上経過し、車体に錆や腐食などが見られるようになった1986年度以降、車体の鉄板張り替えなどを行う修繕工事がスタート。翌1987年度からは、修繕の際に前面を「新車と見間違えるほど」(泉川さん)に大きく変更し、行き先や種別の表示器を窓と一体化したデザインに改め、丸型だった前照灯も尾灯と一体の角型になった。
修繕工事の内容も時期によってさまざまな違いがあり、1997年度以降は行き先・種別表示を幕式からLED式へ、前照灯も従来のシールドビームからHID式に変更。2004~2005年度には8両編成をばらし、3両編成の800型と850型に改造する工事も行われた。
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