1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

東武8000型「通勤車のロングセラー」が放つ存在感 20年間に712両製造、豊富すぎるバリエーション

東洋経済オンライン / 2025年1月17日 6時30分

修繕も製造と同じく約20年にわたって続き、2007年度までに計696両に施工した。これによって細部の違いはさらに増え、泉川さんは「細かい変化を調べたら永遠のテーマになるくらい」と笑う。

【写真】HID式前照灯、ハイビームとロービームはどうやって切り替える?

今や最盛期の4分の1に

修繕によってアップデートされた8000型が第一線で活躍を続ける中、21世紀に入ると廃車も始まった。

8000型の初の廃車は2004年度で、8両編成を3両編成の800型・850型に改造する際に余剰となった中間車両が対象だった。その後は次第に引退が進み、浅草―館林・南栗橋間からは2010年に撤退。一時期は全列車が8000型だった宇都宮線からも2019年に姿を消した。

東上線でも、池袋―小川町間からは2015年に撤退し8両編成が消滅した。ただ、小川町―寄居間のワンマン運転区間ではその後も4両編成が活躍し、2023年3月のダイヤ改正でワンマン運転区間が拡大したことで、森林公園―小川町間には再び8000型が走るようになった。

2024年11月時点で、2両編成6本、3両編成10本、4両編成11本、6両編成16本の計182両が運行を続けている。

「電車の構造を教えてくれた車両」

東武の顔として長年君臨し、数を減らしながらも今なお存在感を示す8000型。その最盛期といえる1985年に入社した泉川さんにとって、8000型は「電車の構造を実地で教えてくれた、一番思い入れの深い車両」だ。

【写真の続き】通常は入れない運転台から座席、窓や天井など車内の特徴の数々

最初の配属先だった西新井工場(廃止)では、検査のために連日入場してくる8000型の床下に「毎日もぐっていた」。その後本社に異動してからも8000型との縁は続き、今度は修繕工事の担当として部品の手配や完成検査などに従事。さらに部署が変わってからも修繕に携わり続けた。「12年半の間、8000型の大半の完成検査に立ち会いました」と泉川さん。「修繕は2007年度が最後だったのでもう十数年前。その車両が現役バリバリで走ってくれているのがうれしい」と話す。

だが、終焉の日はいずれ必ずやってくる。現在、最も多く8000型が残っている東武アーバンパークラインには2025年から新型車両の80000系が投入される予定で、「ゼロの1つ多い」新車と入れ替わりに8000型は引退が進むことになるとみられる。

【画像】ついに世代交代の時が到来、これが新型車両「80000系」だ

「まだしばらくは活躍が見られるでしょうが、最後まで安全第一で無事に完走してほしい」。40年にわたって共に歩んできた車両のプロは思いを込めてこう語る。昭和から平成、そして令和と走り続けた8000型も、まだまだ活躍を続けているとはいえ、終点が見える時が近づいてきたようだ。

小佐野 景寿:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください