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「タイミーおじさん」平気で使う人たちの危うさ 事業者による「ドタキャン」はなぜ許されるのか

東洋経済オンライン / 2025年1月17日 12時0分

一方でワーカー側のキャンセルは業務開始の48時間前からペナルティポイントが発生。8ポイントに達すると一定期間アプリの利用ができなくなる。キャンセルのルールは事業者側に甘い。「事業者ファースト」というタカヒコさんの指摘は言い得て妙だ。

タカヒコさんはこのほかにも、事業者から勤務時刻より前の「早出出勤」や、終了時刻前の「早上がり」を命じられた際にその分の賃金が払われなかったり、休憩時間が取れなかったりといった経験もした。また、「女性限定」「10-30代男性」など性別や年齢を限定した不適切な求人もたびたび見かけ、そのたびにアプリ側に通報しているという。

また、私のこれまでの取材では、契約内容と違う仕事を押し付けられるといった問題のほか、派遣会社がスキマバイトアプリを利用して1日限りでワーカーを雇用、別の会社に派遣するという違法な日雇い派遣が疑われる実態も明らかになった。

スキマバイトの問題を指摘する記事を書くと、SNSなどで「嫌ならやめればいい」という批判を受ける。いわゆる自己責任論である。しかし、私はそのたびに思う。まずはこの“無法状態”を何とかすることが先決だろう、と。

それにしても、タカヒコさんはなぜ私のフェイスブックなどに連絡をしてきたのか。個人で加入できる労働組合(ユニオン)などは、すでにスキマバイトに焦点を絞った調査や相談にも乗り出しているはずだ。

「罪」のほうが圧倒的に大きいSNSの功罪

聞けば、タカヒコさんはあるユニオンに相談したものの、加入はしなかった。「ネットでググったら、ユニオンにかかわると公安にマークされると書いてあったので」という。公安とは公安警察のこと。そのユニオンは、私も取材で話を聞いたことがある団体だが、相談者が公安警察にマークされるなどという話は100%デマである。個人的にSNSの功罪は、「罪」のほうが圧倒的に大きいと思う。

タカヒコさんは高校卒業後、大手飲食チェーン店に正社員として就職したが、数年で退職。その後は訪問販売やパチンコ店、クリーニング店などでさまざまな仕事に就いた。正社員だったり、アルバイトだったり。派遣労働者として工場で働いたこともある。

次第に日雇いの仕事がメインとなり、3年ほど前からスキマバイトへとシフトしていく。タイミーやデイワーク、シェアフルなど5つのアプリを利用。ここ1年はスキマバイトで生計を立てている。

実はタカヒコさんは自家用車で寝泊まりをしている。実家は近くにあるが、家族との折り合いが悪いのだという。スキマバイトによる収入は月約10万円。ガソリン代とスマホ料金を合わせると約5万円で、残りを食費などに当てている。生活保護の利用も考えたが、車を手放すことが条件と聞いて断念した。

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